2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅰ』

◆吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅰ』ちくま学芸文庫、2003年10月 これは難しかった。その原因は、私が吉本隆明の著書に慣れていないからかもしれない。もっと吉本の本を読めば、読みやすくなるのだろうか。 吉本隆明が言う「イメージ」やら「像」というものが、…

映画を見る前に

◆川端康成『女であること』新潮文庫、1961年4月(ISBN:4101001162) ◆川端康成『古都』新潮文庫、1968年8月(ISBN:4101001219) ◆石坂洋次郎『青い山脈』新潮文庫、1952年11月(ISBN:4101003041) この前、『日本人の目玉』(ISBN:4480089217)の川端康成論を読んで…

石川忠司『現代小説のレッスン』

◆石川忠司『現代小説のレッスン』講談社現代新書、2005年6月 思っていたよりも正攻法な批評だった。批評家らしく、小説の細部を読み込んでいたし、意味不明な批評用語で煙に巻くようなところもなかったし。小説の「言葉」や「表現」にこだわっているところに…

J・ウルフ『ノージック』

◆J・ウルフ(森村進・森村たまき訳)『ノージック 所有・正義・最小国家』勁草書房、1994年7月 これは比較的読みやすい本。以前、ウルフの『政治哲学入門』を読んだけど、こちらも読みやすかった記憶がある。翻訳が良いのか、ウルフの書き方が良いのか。本書に…

見田宗介『現代日本の心情と論理』

◆見田宗介『現代日本の心情と論理』筑摩書房、1971年5月 図書館で見つけて、たまには古い本でも読もうと借りてみた。主に、1960年代後半(65年から69年)に書かれた文章を集めてある。論文というか時評というか、両者の中間といった感じ。テーマは、労働、メデ…

平山洋『福沢諭吉の真実』

◆平山洋『福沢諭吉の真実』文春新書、2004年8月 非常に面白い。この本は、近代の日本を研究する人たちにもっと読まれても良い。ポストコロニアルが流行したとき、日本の植民地主義批判する人たちが福沢諭吉を話の枕にして、その論を展開するのがパターンだっ…

ジャック・デリダ『声と現象』

◆ジャック・デリダ(林好雄訳)『声と現象』ちくま学芸文庫、2005年6月 ちくま学芸文庫のために、あらたに訳出された本。この本は理想社から高橋允昭訳で出ていた。おそらく、理想社のほうも以前に読んだ記憶があるのだけど思い出せない。たぶん、デリダを最初…

ヴィットリオ・デ・シーカ『ひまわり』

◆『ひまわり』監督:ヴィットリオ・デ・シーカ/1970年/イタリア/107分 監督は、イタリア映画の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ、主演はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ。タイトルの「ひまわり」がすごく気になる。かつて、梶井基次郎は「桜…

福田和也『日本人の目玉』

◆福田和也『日本人の目玉』ちくま学芸文庫、2005年6月 あとがきには、こう書かれてある。「批評の本を書こうと思った。」 私にとって批評とは、もっと致命的な、人がその選びえない対象の中で何を取り、何を捨てるかという全存在をかけた判断のように思われ…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見10』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見10 表現の冒険』講談社文芸文庫、2002年3月 第1期の第10巻が図書館にあったので、さっそく借りて読んでみた。この巻のテーマは、「表現」。他の巻と異なり、作品の内容、テーマに注目するのではなく、作品の表現方法に…

石原千秋『小説入門のための高校入試国語』

◆石原千秋『小説入門のための高校入試国語』日本放送出版協会、2002年4月 ちくま新書の「大学受験」用のほうは、すでに読んでいたけれど、こちらの「高校入試」向けは読んでいなかった。読んでみて、ちくま新書のほうと特に変わりはないので、読む必要は無か…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見18』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見18 夢と幻想の世界』講談社文芸文庫、2004年1月 これで第2期全8冊を全て読み終えた。疲れた。小説の勉強のために、全巻読破すると決意して、このシリーズを読み始めたが、正直最後まで根気が続く自信はなかった。飽き…

クリストファー・ノーラン『バットマン ビギンズ』

◆『バットマン ビギンズ』監督:クリストファー・ノーラン/2005年/アメリカ/140分 バットマンと言えば、やはり舞台となるゴッサムシティが欠かせない。今回は、バットマンの誕生秘話なので、バットマン=ブルース・ウェインの修業時代から物語が始まるの…

井上達夫『他者への自由』

◆井上達夫『他者への自由−公共性としてのリベラリズム−』創文社、1999年1月 めちゃくちゃ難しい本。文章がガチガチに硬いので、読み通すのにかなり苦労した。 リベラリズムとは何かということを、アナキズムや共同体論などとの対話を通じて論じていく。そし…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見17』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見17 組織と個人』講談社文芸文庫、2003年12月 第17巻は、「組織と個人」。はじめは、珍しいテーマだなと思ったけど、よく考えれば、「国家」や「軍隊」、果ては「企業」と個人の関係を描いた文学なんて別段珍しいもので…

大丈夫かな

◆石川忠司『現代小説のレッスン』講談社現代新書、2005年6月(ISBN:406149791X) 現代小説の批評ということで買ってみた。果たして期待して良いのだろうか?

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見16』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見16 「私」という迷宮』講談社文芸文庫、2003年11月 第16巻のテーマは、ずばり「私」。「私」って何?というテーマは、文学以外の分野でも盛んに取り上げられるし、私もずっと追いかけているテーマなので、この巻は非常…

野村芳太郎『砂の器』

◆『砂の器』監督:野村芳太郎/1974年/松竹/143分 リバイバル上映とのことで、名作を映画館で見られるのはうれしい。『砂の器』は、まだ見たことがなかったけど、松本清張の小説とともに有名なので、だいたいの内容は知っていた。でも、きちんと見てみると…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見15』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見15 笑いの源泉』講談社文芸文庫、2003年10月 第15巻のテーマは、「笑い」。この巻を通して読んで分かったこと、それは「笑い」は難しいということだ。なんだか、どの作品も「笑い」をねらいすぎて、「ああ、これは笑い…

島本理生『一千一秒の日々』

◆島本理生『一千一秒の日々』マガジンハウス、2005年6月 連載小説ということなので、各章はもちろん繋がりがあるのだけど、それらはゆるやかに繋がっているで、各章を一つの短篇として読むこともできるのではと感じた。各短篇を集めてみると、一つの物語とし…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見14』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見14 自然と人間』講談社文芸文庫、2003年9月 第14巻は、「自然」がテーマ。「自然」というテーマは、近代文学のみならず、どの時代の文学において見られるテーマだけに奥が深い。私などには、あまりにも巨大なテーマで…

ハイエク『隷従の道』

◆F・A・ハイエク(一谷藤一郎訳)『隷従の道―全体主義と自由―』東京創元社、1954年5月 例によって、私には細かいところまで理解できない、読むのに非常に苦労した本だ。要するに、「計画化」はダメだ、それは全体主義はてはファシズムを生み出す。「自由主義」…

島本理生の短篇集

◆島本理生『一千一秒の日々』マガジンハウス、2005年6月(ISBN:4838715927) 『一千一秒物語』(ISBN:410108601X)と言えば稲垣足穂だけど、こちらは物語ではなく「日々」か。

マーティン・スコセッシ『アビエイター』

◆『アビエイター』監督:マーティン・スコセッシ/2004年/アメリカ/169分 マーティン・スコセッシがヒューズを描くというので、期待して見に行く。しかし、あんまり面白い映画ではなかったのが残念。 映画監督ハワード・ヒューズが、大富豪で、そのお金で…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見13』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見13 男と女――結婚・エロス』講談社文芸文庫、2003年8月 12巻と同様に、第13巻も副題に「男と女」と付けている。しかし、13巻のほうは、セクシュアリティのテーマを強く出ている作品を多く収録している。全体を通じて、…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見12』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見12 男と女――青春・恋愛』講談社文芸文庫、2003年6月 第12巻は、再び「恋愛」がテーマ。この巻もよい短篇が多い。向田邦子の短篇を初めて読んだけど、これがとても素晴らしい。 野間宏「二つの肉体」…△、平凡。 石坂洋…

N・ルーマン『制度としての基本権』

◆N・ルーマン(今井弘道・大野達司訳)『制度としての基本権』木鐸社、1989年9月 以前読んだときは、難しくて数ページ読んだところで放棄してしまった。今回は、途中で放棄することなく、最後までとりあえず目を通そうと必死に活字を追った。結果、一通り読み…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見11』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見11 事件の深層』講談社文芸文庫、2003年6月 第11巻は、「事件の深層」ということで犯罪にまつわる小説が集められた。この巻は、読み応えのある小説が多い。 武田泰淳「空間の犯罪」…○、上から下を見下ろす視線。 松本…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見9』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見9 政治と革命』講談社文芸文庫、2002年2月 第9巻は、「政治」だ。このテーマはけっこう好きなので、収められているどの短篇小説も面白かった。「政治」をテーマにすると、作家は実験的な作風に向かうのだろうか。「政…

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見8』

◆講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見8 歴史と証言』講談社文芸文庫、2002年1月 この第8巻は、「歴史」がテーマとなっている。戦後の文学で「歴史」といえば、やはり「戦争」ということになるのだろうか。この巻は、ほぼ「戦争」関連の話だった。 平林たい…