見田宗介『現代日本の心情と論理』

見田宗介現代日本の心情と論理』筑摩書房、1971年5月
図書館で見つけて、たまには古い本でも読もうと借りてみた。主に、1960年代後半(65年から69年)に書かれた文章を集めてある。論文というか時評というか、両者の中間といった感じ。テーマは、労働、メディア(サブカルチャー)、自我といったところが取り上げられている。労働についての分析を読んでいると、勝ち組、負け組の二極化はこの頃からすでに現れていたのだということが分かる。今に始まったことではなかったのか。
メディアではベストセラーについての分析が面白かった。
自我のテーマでは、たとえば「失われた言葉を求めて」という論文が興味深い。これは当時の学生の精神風景を描き出したもの。当時は学生運動が盛んな時期だし、その学生たちの精神状況を知ることができた。帰属することを拒否し、<参加>や<連帯>によって<自立>を求めるが、<連帯>への不信が<孤立>へと陥っていく。このように学生たちの精神状況をまとめていた。