2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『世界は村上春樹をどう読むか』

◆『世界は村上春樹をどう読むか』文藝春秋、2006年10月 今年はとにかく村上春樹が非常に注目された年であった。本書は、3月に行われた村上春樹をめぐるシンポジウムとワークショップの記録である。 世界各国で翻訳され、また多くの熱狂的な読者を持つ、日本…

丸川哲史『日中一〇〇年史』

◆丸川哲史『日中一〇〇年史 二つの近代を問い直す』光文社新書、2006年1月 日・中・台の三国の近代について、知識人を通して再考する。著者は本書で「悩む能力」をキーワードにして、知識人たちの「悩み」とその苦しみを追体験するように書く。本書で取り上…

世間は(きっと)広い

たとえば、「大学教授は世間知らずだ」とか「教師は世間知らずだ」と言われる。だが、ちょっと待てと思う。果たして、世間を完璧に知っている人などこの世に存在するのだろうか。というか、そもそも世間知らずと言うときの、「世間」とは何なのだろうか。世…

一度経験してみるといい

大学生や高校生も携帯電話を当たり前のように持つ世の中。ここ中国でも、みんな携帯電話を肌身離さず持っていて、スキあれば仕事をさぼって携帯をいじくっている。その姿を見ているのも楽しいものだ。こうなると「つながりの社会」は、日本だけの現象ではな…

酒井邦嘉『言語の脳科学』

◆酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』中公新書、2002年7月 おもしろい。文系、理系の枠を越えたいわゆる学際的な研究テーマ。人間が言語をどうやって獲得するのか。興味深い問題である。 本書は、「言語がサイエンスの対象であること…

よしなし事

今月は、日本語研究室の文化祭が行われていて、きょうは華道についての講演会があった。学生に誘われたので、ちょっと聞きに行ってみた。文化大使として日本から来て、中国で華道を教えている方が講師として、華道の歴史や中国の華道についてのお話をしたり…

橋本治『これで古典がよくわかる』

◆橋本治『これで古典がよくわかる』ちくま文庫、2001年12月 これは名著。すばらしい。古典のどこに魅力があるのかを教えてくれる。古典は必要ないから、どうでもいいかなと思う前に、一度この本を読んでみるといいのかもしれない。 古典の何がわかりにくいの…

雑感

言葉が不安なのでタクシーには乗りたくないし、バスは揺れが激しくて疲れるので、今のところ移動はもっぱら徒歩か地下鉄を使っている。 地下鉄に乗っていると、お年寄りや子ども連れの女性に席を譲る光景をよく見かける。それもけっこうごく自然に行われてい…

なんだ、これは!

就職難の博士のためのSNSを、国立8大学が運営するというニュース。要チェック。 就職難の博士たちへ、国立8大学が企業との交流サイト(読売新聞) これはどうなのだろう。使えるのか。期待しても良いものなのか。というか、工学系が対象なのかな…(がっかり)。…

太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』

◆太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』集英社新書、2006年8月 日本の歴史や社会・経済などを学生に教える授業をしているので、何かネタはないかと読んでみたが、期待はずれ。笑いについて語っているのに、笑えないのはたしかに芸がない。 愛には毒があ…

加藤陽子『戦争の日本近現代史』

◆加藤陽子『戦争の日本近現代史 征韓論から太平洋戦争まで』講談社現代新書、2002年3月 本書のねらいは冒頭部で明確に次のように述べられている。 為政者や国民が、いかなる歴史的経緯と論理の筋道によって、「だから戦争にうったえなければならない」、ある…

市川伸一『勉強法が変わる本』

◆市川伸一『勉強法が変わる本』岩波ジュニア新書、2000年6月 最近は、岩波ジュニア新書をよく読んでいる。岩波ジュニア新書は、高校生向けに書かれてあるので、難解な内容をやさしく説明しているが、これがけっこう参考なる。私は説明が下手で、特に難解な内…