2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

<アジア>という視点から

『波状言論』の最新号(16号、2004年09月30日)に、投稿論文が掲載された。舞城王太郎論だ。さっそく読んでみたが、なるほどこの評論はかなりレベルの高い、面白いものだった。文章がこなれていないような印象は受けたが、それは全然この評論の価値を下げる…

なんとか読み終えることはできたが

◆立岩真也『自由の平等』岩波書店 一筋縄では読み解けない本だ。すくなくとも私のような不勉強な人間には。『私的所有論』のつづきとなる本だと思うのだけど、そもそも『私的所有論』もまともに私は理解できていないので、著者が主張したいことをどうしても…

3という数字

◆斎藤孝『原稿用紙10枚を書く力』大和書房 文章を書くための方法についての本を、また買ってしまった。どうしたら良い文章が書けるのか、その方法を知りたいというのもあるのだけど、ほかに他の人がどんな方法で文章や論文を書いているのかということがすご…

否定から肯定へ

◆蓮實重彦『表層批評宣言』ちくま文庫 昔読んだものを再読。ずっと前に読んだ当時は、まだ批評や思想などに全然触れたこともなかったのに、いきなりこんな本を読んでしまって、まるで異星の言語を読んでいるような気分を味わったことを思い出す。今回は、そ…

入学試験

今年からのうちの専攻でも、大学院修士課程の夏入試を行うことになったらしい。入学者を確保しなければならない、ということなのだろうけど。 そういえば、試験の度ごとに書いていると思うけど、重要なので再度くりかえしておきたい。やっぱり、大学院には入…

特になし

きょうは本を読む時間がなかった。本を読まない日があると、なんだか落ち着かない。何も勉強をしていないような気分になる。一種の罪悪感を感じるわけだ。一応、予定の勉強はこなしたにもかかわらず、どこか物足りない。 また真夜中にいろいろやらないと…。…

教えて下さい

ひとつ知りたいことがあるのですが、本格的に調べようとするとけっこう時間がかかりそうなので、識者の方にお尋ねします。 夏目漱石がイギリスで映画を見たことがあるのかどうか、そんな記述がどこかにあるということをご存じの方がおられましたら、ぜひ私に…

ああ、毒されている…

◆夏目房之介『マンガの深読み、大人読み』イースト・プレス 期待して読んだのだけど、あまり面白い内容ではなくて残念。私としては、マンガ文化論や市場論を語る夏目房之介より、マンガ表現論の夏目房之介のほうが好きだ。表現論のほうが、断然面白いし、説…

待望のマンガ論

◆夏目房之介『マンガの深読み、大人読み』イースト・プレス ◆吉見俊哉『メディア文化論』有斐閣 私は夏目房之介のマンガ論がけっこう好きなので、新刊が出たことがとてもうれしい。「大人読み」っていうタイトルが良い。マンガの深読み、大人読み作者: 夏目…

物語/小説

◆蓮實重彦『小説から遠く離れて』河出文庫 作家の資質も異なるし、方法意識も異なるのに、なぜかある時期の長編小説が、みな同じような説話論的な構造をしている。これはいったいどういうことを意味しているのか。というのが、本書の大きな問題となる。そこ…

不愉快な出来事

きょう、スーパーで買い物をしていたときのこと。レジでお金を払っていたら、50代か60代のおじさんが、店員に向かって何か言っているのか独り言なのかわからない言葉を大きな声で突然発した。よく聞いてみると、「眼鏡はどこだ」と言っているようなのだ。つ…

似ている部分があると思う

◆大塚英志『物語消費論』角川文庫 今週は、大塚英志の本ばかり読んでいる。人それぞれ感じ方は異なると思うが、私には、大塚の文章はすごく読みやすい。大塚の文体のリズムと私の読むリズムが、うまくかみ合うことが多いということだろうか。人によっては、…

物語を読むあるいはその方法

◆中条省平『反=近代文学史』文藝春秋 ◆大塚英志『物語の体操』朝日文庫 まずは『反=近代文学史』。中条氏の「書評」はたしかに面白し、かつ有益な情報となっている。中条氏の書評は、本を買うときに参考になっている。なので、この文学評論も期待していた…

すごく面白い

◆蓮實重彦『映画への不実なる誘い』NTT出版 すごく内容が面白いので、一気に読んでしまう。この本は、2002年秋から2003年初頭にかけておこなわれた仙台での講演が元になっているという。だから、語り口調となっていて、読みやすい。 テーマは、「国籍」「演…

蓮實本

◆蓮實重彦『映画への不実なる誘い』NTT出版 ようやく買うことが出来た。さっそく読んでみるか。

大塚英志の「天皇」論

◆大塚英志『少女たちの「かわいい」天皇』角川文庫 大塚英志の「天皇」に関する文章をまとめた文庫本なのだけど、通して読んでいくと大塚の「天皇」観の微妙な変化が分かって面白い。 ところで、こうした本が一冊できるということは、大塚英志もところどころ…

ナショナリズムを再考すること

◆香山リカ『<私>の愛国心』ちくま新書 先日の日記でも記したのだけど、しばしば大塚英志は、江藤淳論のなかでつぎのようなことを繰り返し言及している。 かつて、丸谷才一の『裏声で歌へ君が代』を江藤淳は手厳しく批判した。丸谷が戦後の日本を「ただなん…

とても誠実な本

◆塩川伸明『《20世紀史》を考える』勁草書房 ◆蓮實重彦『夏目漱石論』福武文庫 歴史学や政治について、とても真剣に考察している本で非常に勉強になる一冊。おそらく、著者の考えは『歴史学って何だ』と近いような気がする。なので、歴史について考える人は…

江藤淳とサブカルチャー

◆大塚英志『江藤淳と少女フェミニズム的戦後』ちくま学芸文庫 この本は、『サブカルチャー文学論』と兄弟のようなものだ。なので、『サブカルチャー文学論』が分厚すぎて、読む時間がない人は、こちらの本を読めばよいと思う。私は、『サブカルチャー文学論…

結婚する娘とその父親

◆『彼岸花』監督:小津安二郎/1958年/松竹大船/カラー/118分 シネ・ヌーヴォで7週間にわたって、現存する37作品の小津映画が上映されてきたのだが、それも今日でおしまい。終ってしまって、なんだかとても淋しい。もっと見続けていたい、と思う。37作品…

均質化する風景

◆三浦展『ファスト風土化する日本』洋泉社、2004年9月 ◆北田暁大『広告都市・東京 その誕生と死』廣済堂出版、2002年11月 今、地方に行くとなぜか巨大な売り場を持った「ジャスコ」が現れるという。これは、地方に行けばよく見られるありふれた光景であると。…

タイムリーな本

◆三浦展『ファスト風土化する日本』洋泉社 幼い兄弟が、誘拐され川に突き落とされた事件があったばかりだが、その事件が起きたのが栃木県の小山市。まさに、この本で論じられることになるであろう北関東の郊外だ。この本を読むのに、ちょうど良い機会ではな…

今でも通用する本なのでは

◆吉見俊哉『都市のドラマトゥルギー』弘文堂 ずっと前に買ったままで、今まで全部を通読したことがなかったこの本。今更ながら、全部を読んでみて、この都市論は今でもまだ使えるのではないか、と思う。 都市を演劇の舞台に見立てて、そこで上演されるドラマ…

小津映画の豊かさを知る

◆蓮實重彦『監督小津安二郎』ちくま学芸文庫 最近あらたに出た『監督小津安二郎』ではなくて、わざわざ古本で、この文庫版のほうを買って読んでみた。実は、この本を読むのは初めてになる。どうも好きなものは、後にとっておく癖があって、蓮實重彦の批評の…

殴る/殴られる

◆『東京の女』監督:小津安二郎/1933年/松竹蒲田/白黒/無声・不完全/47分 ◆『母を恋はずや』監督:小津安二郎/1934年/松竹蒲田/白黒/無声・不完全/72分 戦前の小津映画をスクリーンで見る機会など、そうそう訪れないだろうと思い、この絶好の機会…

貧しさという豊かさ

「匿名性と野蛮」という特集で、北田暁大×斎藤環の対談、そして小泉義之と酒井隆史の談話が収められている雑誌『談』を読む。今回は、あまり興味を引く箇所がなく、ちょっと残念だった。 この特集は、ともかく、一箇所だけ記憶しておきたい箇所があった。酒…

少し読みにくく難しい

◆紅野謙介『投機としての文学』新曜社 ◆根本美作子『眠りと文学』中公新書 日本近代文学の研究者で、一番カルチュラル・スタディーズのようなことを熱心に行っているのが紅野氏だ。かつては、書物の装丁などから、「文学」を論じたりもしたが、この本では雑…

最後まですばらしい

◆『秋刀魚の味』監督:小津安二郎/1962年/松竹大船/カラー/サウンド版/112分 小津の遺作となった映画。これまでの小津映画を凝縮したような作品で、あちこちに以前の作品と似たような場面、セリフが現れる。それがいったいどの作品の、誰がやっていたも…

20世紀の「視線」とは

◆海野弘『都市の20世紀』日本経済新聞社 副題に「映画から百貨店まで」とあったので、これは今ちょうど自分が調べているものではないか、ということで、さっそく古本屋さんに注文してみた。 今、ぼんやりと考えているのは、百貨店における人びとの視線のあり…

ようやく手に入れた

◆四方田犬彦編『吉田喜重の全体像』作品社 ◆『思想 リベラリズムの再定義』2004年9月号 二つとも欲しかった本。ようやく手に入れられてほっとする。やっぱり「リベラリズム」は最近人気があるのか、大学の生協ではこれ一冊しか置いていなかった。いつも『思…