井上達夫『他者への自由』

井上達夫『他者への自由−公共性としてのリベラリズム−』創文社、1999年1月
めちゃくちゃ難しい本。文章がガチガチに硬いので、読み通すのにかなり苦労した。
リベラリズムとは何かということを、アナキズムや共同体論などとの対話を通じて論じていく。そしてリベラリズムのポテンシャルを探究する。とりあえず分かったこと。本書はリベラリズムを個人から出発するのではなく、正義から出発しているということ。「正義−他者−自由」の3点のセットが重要だ。
自由は、放っておくと《権力への意志》へ向かってしまう。「他者」つまり自分にとって都合の悪いイヤな奴を同化しようとしたり排除してしまう。それではダメだ、ということでここで呼び寄せられるのが「正義」だ。他者の他者性を受容する正義の基底性にこだわり、正義によって自由を鍛える。「逞しきリベラリズム」なんていう言葉もあった。
いろいろな意味でシンドイ本だ…。