映画感想

樋口真嗣『日本沈没』

◆『日本沈没』監督:樋口真嗣/2006年/日本/135分 映画には「沈没もの」と呼べるようなジャンルがあるのか、巨大な船が沈没していくドラマがある。『タイタニック』とか、最近なら『ポセイドン』だとか。日本なら『男たちの大和』も「沈没もの」と言える。…

木下恵介『野菊の如き君なりき』

◆『野菊の如き君なりき』監督:木下恵介/1955年/日本/92分 シネ・ヌーヴォで、きょうから「松竹110周年祭」が始まった。初日にさっそく見に行く。 原作は伊藤左千夫の『野菊の墓』。中学入学前にした15歳の少年政夫といとこで2歳年上の民子の恋の物語。政…

廣木隆一『やわらかい生活』

◆『やわらかい生活』監督:廣木隆一/2005年/日本/126分 原作は絲山秋子の「イッツ・オンリー・トーク」。この小説は以前読んだことがあるが、かなりよい作品だった。なので、この映画は絶対に見ようと決めていた。映画は、小説とはやや異なる物語だった。…

出目正伸『バルトの楽園』

◆『バルトの楽園』監督:出目正伸/2006年/日本/134分 第一次大戦のとき、青島を攻略した日本は多くのドイツ軍兵を捕虜とする。日本各地の捕虜収容所に兵士が送られていくのだが、その一つである徳島の「板東捕虜収容所」が舞台となる。他の収容所では、捕…

ロブ・マーシャル『SAYURI』

◆『SAYURI』監督:ロブ・マーシャル/2005年/アメリカ/146分 ある意味問題作なのだろうけど、いちいち「あれは現実のものとちがっている」とつっこんでも仕方がないのか。現実の世界とは関係なく、一つの独立した世界を創造しているとして楽しむのが賢明だ…

ロン・ハワード『ダ・ヴィンチ・コード』

◆『ダ・ヴィンチ・コード』監督:ロン・ハワード/2006年/アメリカ/150分 面白いといえば面白いのかもしれないが、バタバタと物語が展開していくので、ついていくのがつらい。原作を読んでから見たほうが良かったのだろうか。とにかく人物の背後関係が分か…

堤幸彦『明日の記憶』

◆『明日の記憶』監督:堤幸彦/2006年/日本/122分 堤幸彦監督の作品は初めて見たが、ホラー映画が得意な監督なのだろうと感じた。アルツハイマー病の主人公が、記憶を失い、アイデンティティが不安定になるさまを描くとき、まるでホラー映画のような映像に…

塙幸成『初恋』

◆『初恋』監督:塙幸成/2006年/日本/114分 宮崎あおいが、あの3億円事件の実行犯を演じるということで、ちょっと期待して見に行く。この事件は、68年に起きていたのか。というわけで、学生運動といった時代背景が強調される。革命と恋。これが映画の主題…

小林政広『バッシング』

◆『バッシング』監督:小林政広/2005年/日本/82分 シネ・ヌーヴォにて。今日は公開初日で、監督の小林政広さんと主演の占部房子さんの舞台挨拶があるというので、見に行ってみた。 映画はかなり面白かった。最近ずっと「自己責任」について考えていたので…

ウォルフガング・ペーターゼン『ポセイドン』

◆『ポセイドン』監督:ウォルフガング・ペーターゼン/2006年/アメリカ/98分 映像は大迫力だが、物語はシンプルな映画。巨大豪華客船が航行中に、超大津波を受けて、転覆し沈没する。この船から脱出するさまを描いた物語。この巨大な客船を、まるで生き物…

アレクサンドル・ソクーロフ『ファザー、サン』

◆『ファザー、サン』監督/アレクサンドル・ソクーロフ/2003年/ドイツ・ロシア・イタリア・オランダ/84分 タイトル通り、父と息子の物語のはずなのだか、映画の冒頭からなんだかあやしい雰囲気。荒い息づかいが聞こえ、やがて人の肌がクローズアップされ…

リュック・ベッソン『アンジェラ』

◆『アンジェラ』監督:リュック・ベッソン/2005年/フランス/90分 何をやってもダメな男アンドレが、とうとうどん底に陥り、セーヌに身を投げようとしたとき、絶世の美女アンジェラと出会う。アンジェラは、実は天使で、アンドレを救う任務のために地上に…

ジム・ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』

◆『ブロークン・フラワーズ』監督:ジム・ジャームッシュ/2005年/アメリカ/106分 主人公を演じるビル・マーレイは、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』でも東京という異空間を漂う孤独な男を演じていたが、本作ではさらにだめ男と…

ジェームズ・マンゴールド『ウォーク・ザ・ライン』

◆『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』監督:ジェームズ・マンゴールド/2005年/アメリカ/136分 プレスリーと同時代のミュージシャンであるジョニー・キャッシュの半生を描いた物語。物語はアメリカ映画の典型とも言えるもので、すなわち主人公がいかに…

マーティン・スコセッシ『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』

◆『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』監督:マーティン・スコセッシ/2005年/アメリカ/210分/デジタル・ハイビジョン マーティン・スコセッシが撮ったドキュメンタリー。ボブ・ディランのインタビューや、関係者のインタビューと60年代の映…

キム・ソンジュン『連理の枝』

◆『連理の枝』監督:キム・ソンジュン/2006年/韓国/108分 病によって恋人を失ってしまうという典型的なメロドラマなのだが、予想外な物語の展開を見せてくれておもしろかった。愛した人が不治の病であったというのは、通俗的メロドラマのごく普通のパター…

クァク・キョンテク『タイフーン』

◆『タイフーン』監督:クァク・キョンテク/2005年/韓国/124分 予想外に面白い映画。特に後半の巨大な台風の場面はすごい。水の量が半端じゃない。大量の水が船内を襲うなか、壮絶な男同士の戦いが繰り広げられる。あともう少したとえば大爆破のシーンなど…

佐藤祐市『シムソンズ』

◆『シムソンズ』監督:佐藤祐市/2006年/日本/113分 オリンピックのカーリング選手をモデルにした映画。大阪での上映を待っていた。物語は、いわゆるスポ根ものだが、これがけっこう面白い。

ジュリアノ・メール・ハミス『アルナの子どもたち』

◆『アルナの子どもたち〜パレスチナ難民キャンプでの生と死』監督:ジュリアノ・メール・ハミス/2004年/イスラエル/84分 監督のジュリアノの母親であるアルナ・メールは、パレスチナの難民キャンプで、子どもたちに教育支援活動を行い、93年に「もうひと…

田中徳三『続・悪名』

◆『続・悪名』監督:田中徳三/1961年/大映/93分 『悪名』のつづきを描いた物語。大阪に戻ってきた浅吉は、なんの因果か、その強さを見込まれて、やくざの親分となって子分もできてしまう。弟分の貞と二人で、縄張りを運営していこうとするのだが、金がな…

田中徳三『悪名』

◆『悪名』監督:田中徳三/1961年/大映/94分 原作は今東光。勝新太郎と田宮二郎のコンビが面白い。勝新太郎扮する「浅吉」と田宮二郎扮するやくざの「貞」が出会い、二人で協力して、一人の女性を救う物語。喧嘩が強く面倒見の良い親分膚の勝新太郎もいい…

アンドリュー・アダムソン『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』

◆『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女(日本語吹替版)』監督:アンドリュー・アダムソン/2005年/アメリカ/140分 以前、原作を読んで、その物語の面白さに目覚め、映画版を見るのを楽しみにしていた。ようやく見ることができたが、期待以上に面白い映画…

イム・グォンテク『酔画仙』

◆『酔画仙』監督:イム・グォンテク/2002年/韓国/119分 カンヌ映画祭で監督賞を受賞しただけあって、すばらしい出来だった。19世紀末、朝鮮時代の末期に活躍した天才画家チャン・スンオプの人生を描いた作品である。この映画は、理想の絵を追い求める芸術…

ロマン・ポランスキー『オリバー・ツイスト』

◆『オリバー・ツイスト』監督:ロマン・ポランスキー/仏・英・チェコ/129分 ディケンズの小説をポランスキーが映画化。オリバー・ツイストと名付けられた孤児が、ロンドンへやってきて、子供たちにスリをさせて稼いでいるフェイギンに出会う。オリバーもフ…

チェン・カイコー『PROMISE』

◆『PROMISE』監督:チェン・カイコー/2005年/中国/121分 一人の美女を中心に、運命の男たちが戦う。アクションシーンを期待して見に行ったのだが、物語もなかなか面白い。さすがにチェン・カイコーだ。この物語は、もしかすると、ライトノベルっぽいのか…

高橋伴明『火火<ひび>』

◆『火火<ひび>』監督:高橋伴明/2004年/日本/114分 自然釉の信楽焼の復活させ、また息子の白血病をきっかけにドナーバンクの設立に向けて活動もする神山清子を田中裕子が演じている。物語はシビアなのだが、時折ユーモラスなやり取りもあって、なかなか…

マイク・リー『ヴェラ・ドレイク』

◆『ヴェラ・ドレイク』監督:マイク・リー/イギリス・フランス・ニュージーランド/125分 ヴェラ・ドレイクは、家族を非常に大切にし、世話好きで、家政婦の仕事も真面目にこなしている平凡な主婦だった。ヴェラの家族は、夫も優しく、息子もしっかりした人…

テリー・ジョージ『ホテル・ルワンダ』

◆『ホテル・ルワンダ』監督:テリー・ジョージ/2004年/イギリス・イタリア・南アフリカ/122分 ミニシアター系の映画としては、大ヒットしているという。梅田のガーデンシネマで見たが、たしかにここも満員だった。そもそもネットでこの映画の公開を求めて…

オリヴァー・ヒルシュピーゲル『ヒトラー〜最後の12日間〜』

◆『ヒトラー〜最後の12日間〜』監督:オリヴァー・ヒルシュピーゲル/2004年/ドイツ/155分 この映画は退屈だった。映画の最後に、この秘書本人(?)がインタビューに答えている場面が挿入されているのだが、それも平凡な答えしかしておらず、あまり挿入し…

犬童一心『メゾン・ド・ヒミコ』

◆『メゾン・ド・ヒミコ』監督:犬童一心/2005年/日本/131分 シリアスでありつつギャグも入れたりと、がんばっている作品だと思った。 ゲイのための老人ホームが舞台となる。この老人ホームの運営の中心人物であるヒミコ(田中泯)が末期の癌。ヒミコを愛…