2004-04-01から1ヶ月間の記事一覧

身体論とかフーコーとか

◆市野川容孝『思考のフロンティア 身体/生命』岩波書店 近代社会は身体/生命の周りに、あるいはこの概念を媒介としながら、どのような装置や戦略を組み立ててきたのか。そのなかで、我々は身体/生命をいかに語り、その像は社会編成のあり方とどのような関…

世界と個人あるいは歴史を記述すること

◆武田泰淳『司馬遷――史記の世界』講談社文庫 なんとか四苦八苦しながら、読み終える。いや、とりわけ難解な内容の本ではない。ただ、私が中国についての司馬遷や『史記』について何の知識も持っていないので、読んでも理解が出来なかったということ。でも、…

不自由の寛容、自由の不寛容

人に自慢できるほどではないけれど、私自身はわりかし部屋をきちんとしておくほうだ。部屋に荷物を散乱させたり、ゴミを放っておいたままということはない。乱雑に散らかった部屋よりも、きちんと整理整頓された部屋のほうがいい。(極端に言えば、人間臭い…

「憲法」とは何だ?

◆ポール・ヴァレリー(清水徹訳)『ムッシュー・テスト』岩波文庫 ◆長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』ちくま新書 「テスト氏」が岩波文庫に入った。これは、絶対に読むべき本だと思っていた。文庫本で新しくなってうれしい。 『新現実 vol.3』での宮台×…

近代的な読み方

◆松田修『日本近世文学の成立』法政大学出版局 予定では、昨日読み終えるつもりだったのだけど、読み終える前に寝てしまって今日になってしまった。 近世文学には関心を持っているが、大雑把な知識しかないので、この本の内容が現在の研究ではどういう位置づ…

近現代文学研究での必読書

◆小森陽一『<ゆらぎ>の日本文学』日本放送出版協会 小森氏の著作では、『構造としての語り』、『文体としての物語』の2冊が双璧をなす代表作だと思う。あと『出来事としての読むこと』も付け加えても良い。この「として」シリーズは、今や近現代文学では必…

表紙がなんとも言えない

◆『新現実 vol.3』角川書店 表紙がなんとも言えないものなので、インターネットで購入したが、実際に手に取ってみるとやっぱり「……」という気持ちだ。中身も大塚英志の個人雑誌というような雰囲気になっている。 個人的な批評雑誌といえば、メルマガを使った…

漱石作品の男たち

◆小谷野敦『夏目漱石を江戸から読む 新しい女と古い男』中公新書 ◆田中英道『画家と自画像』講談社学術文庫 『夏目漱石を江戸から読む』をあらためて再読してみたけれど、やっぱり面白い本だ。私は、『八犬伝綺想』がお気に入りの本なのだけど、この本も同じ…

明治文学の勉強

◆十川信介『明治文学 ことばの位相』岩波書店 明治二十年代と漱石関係の論文を多数を収めたもの。若い頃の論文から最近の論文まであり、明治文学研究ではやはり充実している本だ。じっくり読んで、明治文学の勉強をしよう。 ところで、明治時代の文学は、私…

もっと読んでみたい

◆マルクス エンゲルス『共産党宣言』岩波文庫 ◆柄谷行人『内省と遡行』講談社学術文庫 ◆町田康『きれぎれ』文春文庫 『ドイツ・イデオロギー』を読み終えて思ったのは、やっぱりマルクスは面白いということだ。マルクスの文章は、アカデミックなガチガチに堅…

あまりにも貧弱な図書館にて

◆松田修『日本近世文学の成立』法政大学出版局 ◆田中英道『画家と自画像』講談社学術文庫 ◆小谷野敦『夏目漱石を江戸から読む』中公新書 bk1での東雅夫「怪奇幻想ブックストア」のメルマガ「幻妖通信」で今年になって松田氏が亡くなられていたことを知る。そ…

バタイユはやっぱり苦手

◆バタイユ『エロティシズム』ちくま学芸文庫 なんとか『エロティシズム』を読み通す。辛かった。バタイユの思考のリズムというか、文体のリズムに私がどうしても合わせることができない辛さだ。自分のリズムと合う文章と合わない文章というものがある。自分…

追いつけ、追い越せ

◆ソフィア・フォカ、レベッカ・ライト『イラスト図解 “ポスト”フェミニズム入門』作品社 ◆大杉重男『アンチ漱石―固有名批判』講談社 フェミニズムもきちんと理解していないのに、時代はすでに「ポスト」フェミニズムになっている。ああ、なかなか研究の最前…

「可能性」を読む

◆デイリーポータルZ編集部『おとなの自由研究』アスペクト ◆マルクス、エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』岩波文庫 気分転換のつもりで読み始めた『おとなの自由研究』、つい徹夜で読みふけってしまった。夜中の2時頃から読み始めて、読み終えるころには外…

北原白秋の詩

今週はなかなか調子が上がらない。本を読むペースが極端に遅い気がする。バタイユの『エロティシズム』を読んでいるけれど、内容が頭に入ってこないので、すぐに飽きてしまう。 「北原白秋:神奈川県の女子高生5人 全作品の英訳を開始」 「城ケ島の雨」で知…

漱石そしてルーマン

◆柄谷行人『漱石論集成』平凡社ライブラリー ◆大岡昇平『小説家夏目漱石』筑摩書房 ◆高橋徹『意味の歴史社会学』世界思想社 ◆小松丈晃『リスク論のルーマン』勁草書房 別に、この二つを繋げようと思っているのではなくて、たまたま漱石関係の本とルーマン関…

気分転換のために

◆デイリーポータルZ編集部『おとなの自由研究』アスペクト ◆柄谷行人『倫理21』平凡社ライブラリー 実は、けっこうデイリーポータルZを見ている。時々、ツボにはまる記事とかがあって、ほのぼのして面白い。 『倫理21』をまだ買っていなかったことに、最近気…

中上健次「南回帰線」

なんでも中上健次の未発表原稿が見つかったというニュース記事があった*1。劇画「南回帰線」の原稿だそうで、これはすごい。全集未収録のものということだ。この「南回帰線」という作品に関しては、大塚自身『サブカルチャー文学論』で詳細に論じていた。 と…

今度はマルクス特集だ

◆『現代思想 総特集マルクス』2004年4月臨時増刊 サイードやフーコーの臨時特集を組んだりしていて、最近『現代思想』を買うことが多い。『現代思想』あたりは図書館にも入るし、研究室にも置いてあるから、読むだけなら買わなくても良いのだけど、自分の関…

ことば、このやっかいなもの

◆田中克彦『ことばとは何か』ちくま新書 ことばは自然なものだろうか、それとも人間によって作られた人口のものだろうか。このような問いが、言語学の歴史をたどりながら論じられていく。ことばは、人間の手ではどうにもすることができないものなのか。いや…

言語論を勉強する

◆田中克彦『ことばとは何か』ちくま新書 言語論で私が拠り所にしているのは、やはりこの田中克彦だなあ。一番分かりやすい。

身体論を批判するには何が必要か

◆菅原和孝『ブッシュマンとして生きる』中公新書 著者は、南部アフリカ内陸部ボツワナの中央カラハリ動物保護区に住み込み、狩猟採集民グイの調査を長年している。 この本で重要な分析ワードは「身体」である。メルロ・ポンティの間身体性あたりを下敷きにし…

文庫本の世界が熱い

◆小林秀雄『小林秀雄全作品19 真贋』新潮社 ◆村上龍『69(シクスティナイン)』集英社文庫 ◆吉田修一『パレード』幻冬舎文庫 ◆武田泰淳『司馬遷』講談社文庫 最近、毎週土曜日に本をたくさん買っている。平日に本を買うのを我慢して、週末に一気に買うとい…

大学院で研究すること

◆吉原真理『アメリカの大学院で成功する方法』中公新書 ◆羅英均『日帝時代、わが家は』みすず書房 『アメリカの大学院で…』は、昨日の日記にも書いた通り、大学院で研究することとはどんなことなのか教えてくれるし、またアメリカで研究職に就くシステムはど…

非常にショック

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040414-00000302-kyodo-ent http://www.asahi.com/obituaries/update/0415/001.html http://www.asahi.com/obituaries/update/0415/002.html 「鷺沢萠さんが死去」という知らせに、信じられないというか、何がなんだか…

買うかどうか考えている本など

◆菅原和孝『ブッシュマンとして生きる』中公新書 ◆吉原真理『アメリカの大学院で成功する方法』中公新書 ◆バタイユ『エロティシズム』ちくま学芸文庫 読んだ本、買った本だけでなく、図書館等で借りた本も書いておきたい。これで、一体どんな読書生活をして…

絵画と文学の比較研究の基本文献

◆芳賀徹『絵画の領分』朝日新聞社 ◆木股知史編『近代日本の象徴主義』おうふう 『絵画の領分』は古本で購入。以前にも古本で買ったが、重要な本なのでもう一冊買った。絵画と文学の比較研究は、この本が基本文献。何度も読む必要があるだろう。 絵画と文学の…

メディアを受容する身体を記述する

◆吉見俊哉編著『一九三〇年代のメディアと身体』青弓社 1930年代をメディアとそれを受容する身体に注目して分析する。その後の時代、つまり総動員体制へ、メディアと身体を通じていかにシフトするかということが、収録された論文の通奏低音となっている。特…

恥ずかしい、だけどやっぱり嬉しい

◆bk1with熱い書評プロジェクト『熱い書評から親しむ感動の名著』すばる舎【→参照】ASIN:4883993477 ◆『国文學』2004年5月号 『熱い書評から親しむ感動の名著』が今日届く。なんか自分の拙い書評が、こうして本に載ってみるとますます恥ずかしさを感じる。自…

またまたお知らせ

たいしたことではないのですが、ここではちょっと書きにくいことなので、メルの本棚を参照してください。