2004-02-01から1ヶ月間の記事一覧

研究者の悩み

研究者の苦労と言えば、思わず共感してしまったのが、朝永振一郎の日記*1。これがすごい。私と同じようなことで悩んでいて、読んでいると同一化してしまうほど。研究者の悩みは、みんな共通しているのか。 *1:ここを参照

必要なものを必要なだけ

というわけで、『ユリイカ 特集*論文作法』を読み終えた。参考になったというか、逆に頭の中が混乱してしまったかもしれない。あたりまえのことだけど、人それぞれ、論文の書き方があるのだ。だから、それら全部を真に受けていたら、訳が分からなくなる。こ…

物語を知る

◆大塚英志『物語の体操』朝日文庫 ◆南条あや『卒業式まで死にません』新潮文庫 ◆『[国文学解釈と鑑賞]別冊 女性作家《現在》』至文社 ◆『NHK人間講座 みやこの円熟 江戸期の京都文化史再考』 物語の書き方を知るというのは、要するに物語の構造というかパ…

カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアル、フェミニズム

『ユリイカ 特集*論文作法』をたのしく読んでいる。蓮實ファンとしては、蓮實重彦のカードなど見ることができてうれしいかも。こんな風に研究してるんだ、と。 ところで、この特集、「論文作法」と言いながらも、何人か目につくのはカルチュラル・スタディ…

日本文学も捨てた物ではない

◆仲俣暁生『ポスト・ムラカミの日本文学』朝日新聞社 この本を読んでみても、やはり80年代は、文学にとっても不毛な季節だったのだなあと思う。特に芥川賞がまったく機能しなくなったのがこの80年代だったということになる。その反動というか、90年代の芥川…

80年代を振り返ってみるために

◆田中康夫 浅田彰『憂国呆談』幻冬舎 ◆清涼院流水『コズミック』講談社 ◆井田真木子『旬の自画像』文藝春秋 いずれもブックオフにて。 『「おたく」の精神史』を読んで以来、ちょっと浅田彰が気になって。浅田彰って、これまでどんなことをしてきたのかを確…

驚く

訃報:網野善彦さん76歳=元神奈川大教授、歴史研究に影響 ニュースを見ていたら、こんな記事が…。残念なことだ。

反省

ついでに今後の勉強のために反省をしておくと、まだまだ私は視野が狭い。思考の幅がないと思う。つねに、自分の考えとは異なる立場についても視野に入れておかないといけない。というのは、今まで何か小説や映画を批判するときは、必ずそれらについて実際に…

読書中

昨日手に入れた仲俣暁生『ポスト・ムラカミの日本文学』を半分ほど読んでみたけれど、かなり面白い本だった。村上春樹とか村上龍はけっこう読んだつもりだったけど、見逃していた箇所があったなあと、いろいろ教えられる。 もう一冊、ノージックを読んでいる…

果たして悩みが解決されるのか

◆四方田犬彦『ハイスクール1968』新潮社 ASIN:4103671041 ◆『ユリイカ 特集*論文作法』2004年3月号 楽しみに待っていた『ハイスクール1968』がやっとこ出た。雑誌に掲載されたのを読んでいて、めちゃくちゃ面白い話だったので。 論文を書くことに、絶えず悩…

自分のことを「書く」ということ

しかしながら、これは単に自分のなかに「個性」がないから、自分のことを説明するのが難しいということなのか?そうではないような気がする。実はもう一つの困難として、これは文章の書き方、つまり表現行為の問題が挙げられる。自分のことを書いた文章が、…

自分のことが分からない

昔、学部を卒業するとき、ちょっとだけ就職活動をしてみた。こんな経験もしておこうかなと思って。で、その時、どうやって活動するものなのか全く分からなかったので、本屋に行って何冊かいわゆるマニュアル本を買って勉強してみた。 この時、やっぱり大きな…

岡崎京子の小説

◆岡崎京子『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』平凡社 ◆仲俣暁生『ポスト・ムラカミの日本文学』朝日新聞社 やっと届いた岡崎京子の小説。もともと言語感覚というか、言葉の使い方にも魅力があった岡崎京子だから、きっと小説も期待できるのではないか…

ポール・オースター

「『幽霊たち』フリーク必見! オースター的キーワードを探せ」 ニューヨーク3部作、とりわけ『幽霊たち』を読んで以来、オースターには注目している。なので、この展覧会は見てみたいと思った。見てきた人いるのかな?近くオースターの最新刊が出るそうだし…

不便な一週間

今日と明日は入試。そのために今日は図書館は休み。週末は停電でやっぱり図書館が休み。なんなんだ、これでも大学の図書館なのか!と本気で怒りたくなるところ。おまけに、学生証が3月一杯で切れるので、本を借りることができるのはあと2週間だけ。それ以降…

ポケモン

◆中沢新一『ポケットの中の野性』新潮文庫 なんとなく面白そうな雰囲気を感じたので買ってみた。現代思想から読み解くポケモンといったものかな? ポケモンって、やったことも実際に見たこともないけれど、おもしろいものなのかな?気になるところだけど、い…

 フォークナーはすばらしい

昨日、少々肉体を酷使したので、案の定疲れが残ってなんだかだるい一日。こたつで眠ってしまったのも良くなかったなあ。 ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』を半分ほど読み終える。残り半分、今週中にかたづけよう。 やっぱりフォークナーは格好い…

 「おたく」と「オタク」の差異

さて、昨日の日記の『「おたく」の精神史』についてのメモで、この本が大塚英志の個人史になっているということに注意したいと書きながら、そのままに放り投げてしまった。一応、その理由をここに書き加えておきたい。個人史であることに注意を向けたのは、…

ありきたりのテーマで面白いのだろうか

◆増田幸子『アメリカ映画に現れた「日本」イメージの変遷』大阪大学出版会 ◆吉永和加『感情から他者へ』萌書房 アメリカ映画のなかに登場する「日本」や「日本人」の表象を分析するというのは、調べたわけではないけれど、これまでにも行われてきたわりとポ…

 80年代のつらさ

◆大塚英志『「おたく」の精神史』講談社現代新書ASIN:4061497030 今日、一日中読んで、ようやく読み終えた。80年代というものが、なんとなく分かってきた。たしかに、この本を読んでいると、80年代がつらい時期だったのではないかと思わずにいられない。 こ…

 “女の子作家”?

「“女の子作家”最高潮…芥川賞・直木賞の授賞式」 芥川賞授賞式のニュース。かなり盛況だったという。その加熱ぶりはともかくとして、このニュースのタイトルが面白いなあと。「女の子作家」とはよく言ったものだ。新しい文学のジャンルとして「女の子」文学…

ジョイス

◆ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク Ⅱ』河出文庫 ◆川村邦光『オトメの行方 近代女性の表象と闘い』紀伊国屋書店 『フィネガンズ・ウェイク』の2巻目購入。 『オトメの行方』は、『オトメ』3部作の最後にあたる本ということ。といっても、前の2作…

 手元に置いておきたい本

◆立岩真也『私的所有論』勁草書房 とりあえず、読み通そうと思って注釈の部分を抜かして読んでみた。本文の議論だけでも相当面白かった、というか考えさせられることが多い。もう一度きちんと読んで理解しておきたい本なので、ぜひ買って手元に置いておこう。…

 <流動>と<定着>

今年になってから、ずっと安部公房の『砂の女』について考えている。この小説のキーワードは<流動>と<定着>だ。一つの読みの可能性としては、<定着>的な日常生活に嫌気がさして<流動>の生活(=非日常生活)に憧れるのだが、最終的に砂の世界に留ま…

サブカルチャーの勉強をしたい

◆宮台真司・石原英樹・大塚明子『サブカルチャー神話解体』パルコ出版 読もうと思っていた本だけど、部屋の沢山の本のなかに埋もれてしまって簡単に取り出せない状態なので、しかたなくもう一度購入。今度こそ全部読もう。

 著作権を考える

◆岡本薫『著作権の考え方』岩波新書 著作権というのは、いったいどうなっているのか知りたくて読んでみた。著作権の解説とそれにまつわる諸問題を提示していて、とても勉強になる本だった。 この本によると、著作権の世界では「全員が不満」が「普通の状態」…

要注目の二冊

◆大塚英志『サブカルチャー文学論』朝日新聞社 ◆大塚英志『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』講談社現代新書 大塚英志の注目作二冊、さっそく買ってみた。今後の「おたく」論、サブカルチャー論には欠かせない本となるのはまちがいないだろう(と思う。ま…

 大島渚の映画で

数年前に大島渚の『日本の夜と霧』などの映画を見たことがある。学生運動が取り上げられていて、私などは、その頃のことを全然知らないので、映画の背景にどんなことが起きていたのか分からずにただ、その学生運動の雰囲気だけを感じていた。 で、学生運動な…

 ポストコロニアル研究

◆丸川哲史『台湾、ポストコロニアルの身体』青土社 ポストコロニアル研究の本としては、とても分かりやすくて勉強になる。台湾の文化、文学や映画を素材に、身体に刻まれた「記憶」を歴史化し再検討を加えることで、現代と過去を接合する試み。こういう研究…

 博士論文公開審査会

博士論文の公開審査を三つほど聞いてきた。一日に三つも博士論文を審査する先生方は、さぞ大変なことだろうと思う。来年は、なんとかして自分が審査を受ける場にいなければと感じる。完璧な論文などあり得ない、ということは分かっているが、審査ではもちろ…