講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見18』

講談社文芸文庫編『戦後短篇小説再発見18 夢と幻想の世界』講談社文芸文庫、2004年1月
これで第2期全8冊を全て読み終えた。疲れた。小説の勉強のために、全巻読破すると決意して、このシリーズを読み始めたが、正直最後まで根気が続く自信はなかった。飽きっぽい性格なので、途中で何度も読むのをやめようかなと思ったが、なんとか全部読み通すことができてほっとした。自分の苦手なジャンルやら、普段なら読むことのない作家の作品を読んで新鮮な気分を味わったり、自分なりにいろいろ勉強になった。今後、小説を読むときに、今回の経験を生かしていきたいものだ。
第18巻は、幻想譚。通読して分かったのは、幻想譚は当たりはずれが大きい。すごく面白い作品になるか、ひどくつまらない作品になるか。出来不出来の差が激しいジャンルである。

  • 日影丈吉「かむなぎのうた」…△、弱々しい少年の空想モノ。谷崎っぽい要素が含まれている。
  • 矢川澄子「ワ゛ッケル氏とその犬」…△、佐藤春夫っぽい??
  • 谷崎潤一郎「過酸化マンガン水の夢」…◎、大便から様々な空想をする谷崎はやはり凄い。
  • 星新一「ピーターパンの島」…△、イマイチ。
  • 色川武大「蒼」…○、不気味さが良い。
  • 吉行淳之介「蠅」…◎、思春期の少女と性の幻想性。性への欲望と不気味さの二重性を「蠅」で表象する。
  • 中井英夫「鏡に棲む男」…△、あまり面白くなかった。
  • 村上龍「ハワイアン・ラプソディ」…×、飛べない年老いたスーパーマン。作品は退屈。
  • 村田喜代子「百のトイレ」…◎、谷崎と吉行を足して二で割ったような感じ。
  • 川上弘美「消える」…○、性と幻想の物語。
  • 室井光弘「どしょまくれ」…×、つまらない。