2003-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ところで、以前から気になっていたことなのだが、なぜ「現代思想」と「ユリイカ」という雑誌はコピーが取りにくいのだろう?(一般に雑誌にはいろいろな大きさがあるけれど、ここでは主に学術系の雑誌のことを念頭に置いている、たとえば紀要とかの類)という…

◆合田正人『ジャンケレヴィッチ 境界のラプソディー』みすず書房

◆永井荷風『江戸芸術論』岩波文庫

『江戸芸術論』は、荷風が江戸文化をいかに読んだのか分かる。江戸の芸術や文化を「平民」という言葉で説明している、というのが本書の重要なところ。このあたりに、反=近代という荷風の姿が出ていると思う。もう一つは、このような見方を荷風がするのはな…

桑野隆『バフチンと全体主義』

◆桑野隆『バフチンと全体主義』東京大学出版会 『バフチンと全体主義』は、バフチン論だと思っていたら、ちょっと期待はずれ。桑野氏にはすばらしいバフチン論があるのでかなり期待していたのだが。本書は、バフチン論もあるのだけど、主に現代ロシア思想の…

文学者の旅行記、というのも文学研究ではしばしば研究対象に取り上げられる。旅先で、何を見て、何を感じ、何を考えたのか。そんなことを分析することで、一つの作家論が出来るし、他の作家との比較を通じて、たとえば文学者の異文化接触の問題などを考える…

◆三島由紀夫『外遊日記』ちくま文庫 三島が、外国旅行で何をしていたのだろうか、そんなことが気になって読んでみたくなった。

ルイ・アルチュセール『アルチュセールの論』

◆ルイ・アルチュセール『アルチュセールのイデオロギー>論』三交社 短い論文なので、読むのに時間はかからないけれど、細かく読んでいくと大変かもしれない。でも面白い本ではある。先に、浅田彰の論文で、この論の中身を知ってしまったので、割と頭に入りや…

マーサ・A・ファインマン(上野千鶴子監訳、速水葉子、穐田信子訳)『家族、積みすぎた方舟』

◆マーサ・A・ファインマン(上野千鶴子監訳、速水葉子、穐田信子訳)『家族、積みすぎた方舟』学陽書房 なかなかラディカルな主張をする本である。ここでは、ある特定の家族形態が特権化されていることを批判している。その家族形態とは、父−母−子という核家…

時々、講義を受けていると虚しくなる時がある。講義が退屈だ、という理由ではなくて、自分がいつまで講義を聞く側にいるのだろうと。大学には、思えばもう小中学校の年数よりも多くいる。このままでいいのか、講義を聞いている自分の姿が不甲斐なく感じるの…

◆四方田犬彦『摩滅の賦』筑摩書房 ◆フーコー『同性愛と生存の美学』哲学書房 『摩滅の賦』、タイトルに惹かれて購入。「摩滅」というところがなんとなく良い雰囲気。格好いいタイトル。今年、四方田氏はたくさん本を出しているなあ。たくさん書きまくってい…

◆中条省平『文章読本 文豪に学ぶテクニック講座』中公文庫 単なるテクニック集ではなくて、日本文学の表現史といった批評書になっているのがミソ。

フォークナー『熊 他三編』、塚原史『ダダ・シュルレアリスムの時代』

◆フォークナー『熊 他三編』岩波文庫 ◆塚原史『ダダ・シュルレアリスムの時代』ちくま学芸文庫 フォークナーの短篇に挑戦してみたけれど、なかなか渋い小説が多い。長篇とは違った魅力がある。なんとなく、ヘミングウェイのような雰囲気と言ったらよいのだろ…

アルチュセール

以下、私的なメモ。 ◆浅田彰「アルチュセール派イデオロギー論の再検討」(『思想』707号、1983年5月) アルチュセールは、上部構造の介入という曖昧な把握を明確にするために、これを国家装置(国家の抑圧装置+国家のイデオロギー装置)の働きとして捉え直…

学生の時

しばしば、学生の時が一番よく勉強出来る時期だったと、言われる。たしかに、今の自分の状況を考えてみると、研究に費やせる時間がたっぷりとあり、何か制約があるわけでもないので、好きな研究を集中して出来る。しかし、時間があるとは言っても、代わりに…

ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』

◆ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』白水社 面白い。フロベールの愛読者・研究者というのが主人公。その主人公のフロベールについての批評が小説となっている。小説のなかで小説について述べる。先行する小説に対して、後からやってきた小説家はいか…

◆小谷野敦編『恋愛論アンソロジー』中公文庫ISBN:4122042771 サブタイトルは、「ソクラテスから井上章一まで」。古今東西の恋愛論のエッセンスがまとめてあって、かなり便利な本だと思う。手っ取り早く有名な「恋愛論」を眺めるには良いと思う。

◆三島由紀夫『芸術断想』ちくま文庫ISBN:4480030700 ◆川端康成『眠れる美女』新潮文庫ISBN:4101001200 ◆ジャン=ジャック・オリガス『物と眼』岩波書店ISBN:4000252941 『物と眼』は日本文学論。

◆『28日後…』 監督がダニー・ボイルということなので、見逃せない映画だ。物語は、血と唾液で感染するウィルス。感染すると「凶暴性」が増す。そして、あっという間に世界は壊滅してしまう。街は、ウィルスに感染した人々がたくさんいて、主人公たちを襲って…

何かうまくいかない、しっくりとこない一日。気分が下がり気味。こういう時は、もう何をしても乗ってこないので、勉強するのをあきらめる。気分が変わるのを待つしかない。

松井貴子『写生の変容』

◆松井貴子『写生の変容』明治書院 日本の近代文学史に必ず登場する「写生」。もとは、スケッチという美術の用語から来ているようだ。しかし、スケッチと写生はズレがあるのだが。美術と深い関連のある「写生」という言葉だが、これまでの日本文学研究では、…

◆阿部和重『シンセミア』(上)(下)朝日新聞社 さっそく買ってみた、阿部和重の新刊。上下二巻の長篇小説というのがうれしい。

富士川義之『きまぐれな読書』

◆富士川義之『きまぐれな読書』みすず書房 『きまぐれな読書』は面白い。やはり本読みの達人、といった感じ。堅苦しい学術論文ではなく、かるいエッセイ調の本だが、さりげなく文学研究にとって重要なヒントが書かれてあって、おもわずメモを取ってしまう。…

トーマス・マン『トニオ・クレエゲル』

◆トーマス・マン『トニオ・クレエゲル』岩波文庫 ドイツ文学は、苦手かもしれない。カフカは面白いと思うが、その他の作家には興味があまりない。昔は、ヘッセとか読んでいたけれど、今は全然ヘッセなんて読む気が起こらないなあ。どうも変な生真面目さ、一…

◆フォークナー『フォークナー短編集』新潮文庫 ◆小林秀雄『小林秀雄全作品13 歴史と文学』新潮社 今、フォークナーに夢中なので、フォークナーの本が買いたくて仕方がない。

永井良和・橋爪紳也『南海ホークスがあったころ』

◆永井良和・橋爪紳也『南海ホークスがあったころ』紀伊国屋書店 今は無き大阪球場。そこを本拠地にしていた南海ホークス。セ・リーグ中心になりがちなプロ野球の歴史を、南海ホークスそしてパ・リーグの側から記述するという試み。そして、話題の中心になる…

選挙がやってくる。うっとうしい時期である。駅前で街頭演説をしている。民主党は例のマニフェストを配っている。どうせ政権を取れるわけでもないし、マニフェストなど実行するときは永遠に訪れることがないのは誰でも分かる。野党が政権を取るような姿勢を…

アルダンティ・ロイ『帝国を壊すために』

◆アルダンティ・ロイ『帝国を壊すために』岩波新書 ブッシュ大統領への皮肉たっぷりな文章は、かなり面白い。決して上品な文章とは言えないが、しかし少々下品な語りは帝国への強烈な批判となるはず。アメリカかそれ以外か、という野蛮な二項対立を徹底的に…