野矢茂樹『言語哲学がはじまる』

現代言語哲学に関して、フレーゲラッセル、ウィトゲンシュタインを取り上げ、その思想を外観する本。
新書なので、この本一冊で、これらの哲学者の思想が理解できるわけではないが、それでも非常に参考になる。語り口が柔らかいので、説明が理解しやすいのも良い。論理学とか言語哲学とか、ほかにも「入門書」はあるけれど、たいていは難解でとっつきにくかった。それゆえ、言語哲学を敬遠するということになっていたが、この本のおかげで、言語哲学に対するイメージがちょっと変わったかもしれない。
また、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』は好きな本の一つであるが、これまで何が書かれている本なのか、いまひとつ理解できなかった。この本の説明によって、『論理哲学論考』で何をしようとしていたのか、少し理解できたのは大きい。