「可能性」を読む

デイリーポータルZ編集部『おとなの自由研究』アスペクト
マルクスエンゲルスドイツ・イデオロギー岩波文庫
気分転換のつもりで読み始めた『おとなの自由研究』、つい徹夜で読みふけってしまった。夜中の2時頃から読み始めて、読み終えるころには外はもう明るくなっていて驚いた。日常生活のなかでは本当にどうでもいいことなんだけど、それを真面目に追求するとなぜかおかしくて笑える。そんな感じ。
ドイツ・イデオロギー』を読み返してみた。『資本論』も面白い本だけど、この本もけっこう面白い。それにしても、この岩波文庫の本は、原稿を忠実に再現しようとしていて、それは研究者にとっては大切なことなんだろうけど、私みたいに趣味で読む読者にとってはかなり読みにくい。そもそも原稿は虫に食われていたりして書けている部分もあるそうだが、そのためか文章が切れ切れになっていて分かりづらい。この部分に書き込みがあるとか、傍線があるとか、いちいち細かい点まで再現しているのだ。学問的には、たしかにこうしたテキストクリティックという作業が重要なことは知っている。が、別にマルクス専門の研究者でもないし、ただマルクスの「可能性の中心」のみ知りたい私としては、文庫本でこんな作り方をされるとちょっと困る。他の出版社のほうが読みやすかったのかもしれない。