雑文

杭州、西湖(3)

西湖に不満を持つ芥川を乗せた船は、さらに西湖を進む。 私が西湖を攻撃している内に、画舫は跨虹橋をくぐりながら、やはり西湖十景の中の、曲院の風荷あたりへさしかかった。この辺は煉瓦建も見えなければ、白壁を囲んだ柳なぞの中に、まだ桃の花も咲き残っ…

浙江大学西溪キャンパス

浙江大学西溪キャンパス(西溪校区)

浙江大学紫金港キャンパス

浙江大学紫金港キャンパス(紫金港校区)

浙江大学華家池キャンパス

浙江大学華家池キャンパス(华家池校区)

杭州、西湖(2)

芥川が宿泊した新新ホテルの目の前にあるのが「弧山」。芥川はここを散策している。 画舫は錦帯橋をくぐり抜けると、すぐに進路を右に取った。右は即ち弧山である。これも西湖十景の中の、平湖の秋月と称するのは、この辺の景色だと教えられたが。晩春の午前…

杭州、西湖(1)

1921年3月、芥川は大阪毎日新聞社の海外視察員として中国を訪れた。 芥川は杭州に来ている。 「此処が日本領事館ですよ。」 村田君の声が聞こえた時、車は急に樹々の中から、なだらかに坂を下り出した。すると、見る見る我々の前へ、薄明るい水面が現れて来…

日本の教育はもしかすると優秀かもしれない

「日本の教育システムは終わった」的な主張のブログをいくつか見かけた。「日本の大学は終わっている」と言う「フューチャリスト」もいるみたいだ。 それにしても、日本の教育システムは、効率よく知識を詰め込むにはよいシステムだが、「自分で考える」人間…

コミュニケーション力

「博士」も定職が見つけられず…ポストドクター1万5000人超(sankei web) この前もNHKのクローズアップ現代でポスドクの就職難について取り上げられていたが、この記事によるとそのポスドクは増え続け、15000人を越したという。 こういうとき、よく言わ…

知の考古学

もっぱら対立しているのは、依然として権力者(支配者)と民衆(あるいは庶民)なのだろう。 たとえば作り手を受け手の対立もその一つだ。ポストモダンは、作り手の一方的な作品支配に抵抗するきっかけになった。 あるいは、「歴史」と「記憶」の対立もある…

読んでから考える

内田樹の次の文章を読んで、自分が以前書いた「素人」批判を思い出してしまった。 とにかく、こちらは素人ですから、専門家に何を言われても「あ、そうですか。すみません」でおしまいです。別にそれによって「バカ」の烙印を押されても、何の実害もありませ…

ショック…

許せる? 許せない? 新入社員のあきれた言動 新入社員のあきれた行動が紹介されていて、これはおもしろい記事。将来日系企業に就職する学生もいるから、学生にこういう行動は嫌われるのだよと教えておきたい内容。 それにしても、個人的にはこの調査結果に…

先にやることがあるのでは

留学生受け入れ拡大、態勢整備で一致…教育再生会議(YOMIURI ONLINE) 国際競争力を高めるために、留学生を100万人にまで拡大するというニュース。日本の留学を選択しやすいように奨学金などを充実させていくなど、いくつかの提案がなされている。 留学生の…

手を動かす

茂木健一郎のブログに、「忘れること」の効用として、「課題になっていることがあったら、今までの経緯は無視して、とっとと始めろ、ということを自分に課すことができるという点*1」を挙げている。 このことは、たしかにその通りで非常に大切なことだと思う…

選挙戦略として「女性」の立場は有効なのか

統一地方選挙がはじまった。 選挙の度に疑問に思うことがある。女性の立候補は、しばしば「女性」の立場を強調する。果たして、選挙戦略として、女性が「女性」の立場を強調するのはどれほど有効なのだろうか。 そもそも、男性だから「男性」の立場で、女性…

熱心

入学前補習、大学で当たり前に 中学校レベルも(『asahi.com』2007年04月07日) 大学で、入学前に補習授業をやるのが今や当たり前になってきたというニュース。要するに、「学力低下」という危機から、大学が始めたことなのだが、補習を真剣に受けている学生…

「恵まれた」人間は、社会批判をする資格がないのだろうか

大正時代の有島武郎とか、その周辺の文学者、すこしあとだと太宰治のような文学者たちの苦悩は、現代でもすこしも解決されていないのだなあと思う。 たとえば、幸か不幸か「恵まれた」*1環境にいる人がいるとする。そして、彼らがいくらプロレタリアの階層の…

愚痴

日本の大学は卒業生や修了生の追跡調査に必死だ。私のところにも、院を修了したときから、進路調査の依頼が何度かきた。 要するに、特に修了生の進路を大学側の業績として報告して、いかにすばらしい教育を行っているかを証明しないといけないのだろうが、そ…

きびしいが

なんともつらいのだが、私もこのお金を返済しなければ… 奨学金返還、督促を強化 法的措置予告1万件 督促が来ないように気をつけよう。

「素人」というレトリック

昨日から、「素人」というレトリックについて考えている。「オレは素人だけど…、なのに専門家は×××」といったレトリックのことだ。自分を低い位置に置いて、そこから上位の者をおとしめるテクニック。こういうのが伝統的なレトリックのなかにあるのかどうか…

気になる

早稲田大学が研究専念教員を募集するというニュース。 http://www.asahi.com/life/update/1205/006.html 良さそうな制度かもしれない。他の大学にも波及すればいいのに。 研究に専念できる環境はうれしいが、意外と教育もやってみるとおもしろいので、全く講…

世間は(きっと)広い

たとえば、「大学教授は世間知らずだ」とか「教師は世間知らずだ」と言われる。だが、ちょっと待てと思う。果たして、世間を完璧に知っている人などこの世に存在するのだろうか。というか、そもそも世間知らずと言うときの、「世間」とは何なのだろうか。世…

一度経験してみるといい

大学生や高校生も携帯電話を当たり前のように持つ世の中。ここ中国でも、みんな携帯電話を肌身離さず持っていて、スキあれば仕事をさぼって携帯をいじくっている。その姿を見ているのも楽しいものだ。こうなると「つながりの社会」は、日本だけの現象ではな…

よしなし事

今月は、日本語研究室の文化祭が行われていて、きょうは華道についての講演会があった。学生に誘われたので、ちょっと聞きに行ってみた。文化大使として日本から来て、中国で華道を教えている方が講師として、華道の歴史や中国の華道についてのお話をしたり…

なんだ、これは!

就職難の博士のためのSNSを、国立8大学が運営するというニュース。要チェック。 就職難の博士たちへ、国立8大学が企業との交流サイト(読売新聞) これはどうなのだろう。使えるのか。期待しても良いものなのか。というか、工学系が対象なのかな…(がっかり)。…

すばらしい

NHKのサイトで採用情報を見ていたら、「大学院後期博士課程は社会人としての勤務経験と同等とみなします。」という一文を見つけた。たぶん研究職だからだろうけれど。しかし、これは大学院生にとってはうれしいことだと思う。こうやって、一般社会におい…

人に何かを教えたがることについて

いわゆる新人類世代というのは、結局のところ、他人に何かを教えたがる世代なんじゃないかと思う。(もしかすると、世代の問題ではないかもしれないが、とりあえず世代でくくってみる。) 下の世代から見ると、彼らの教えたがり的なところが、非常に厄介とい…

『千夜千冊』を買う人

値段が8万9250円だが、松岡正剛の『千夜千冊』は欲しい。『千夜千冊』の各文章は、どれも少々長いので、パソコンの画面で読むのがつらかった。なので、本で読めるようになるのはうれしい。北京にある図書館でも、この本を購入してくれれば、私も借りて読むこ…

引っ越し前夜

中国へわたる前に、いったん実家に戻る。 関東から関西に引っ越してきたのは、大学に入学したときだ。それからはや10年近く過ぎた。こんなにも長く関西で生活することになるとは思わなかった。私にとって、関西はもう第二の故郷と言える。なので、いざ、離れ…

『明暗』の「小林」と私

『明暗』に登場する一風変わった人物である「小林」の言葉を、このまえの日記で引用した。というのも、小林の状況と今の自分自身の状況が似ているではないか、と思ったからだ。このまえ引用した部分のつづきをみてみよう。 小林は、《「僕は君の腹の中をちゃ…

決まり文句

決まり文句に次のようなものがある。 ○○は今から〜〜年前のことである。 気取って、何か含みを持たせて文章を締める方法だが、この言い方はダサい文章の典型だと思う。気をつけたい。