映画感想
◆『単騎、千里を走る。』監督:チャン・イーモウ/2005年/中国・日本/108分 すばらしい映画だったと思う。高倉健が主演。息子との間に何らかの問題があって、何年も離ればなれの生活を送っている男を高倉健が演じている。この息子が、末期癌で余命幾ばくも…
◆『ミュンヘン』監督:スティーブン・スピルバーグ/2005年/アメリカ/164分 なかなか面白い映画だった。やはり見せ方がうまいというか、興味の惹きつけ方がうまいというか。単純に、バンバンと銃撃戦をやったり、爆弾を爆発させるだけではないのだ。爆弾を…
◆『プライドと偏見』監督:ジョー・ライト/2005年/イギリス/127分 原作は、ジェイン・オースティン。小説のほうは読もうと思いつつ、まだ読んでいない。映画を見たことだし、小説もきちんと読んでおかなければ。 この映画は、なかなか面白かった。上流と…
◆『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』監督:青山真治/2005年/日本/107分 ノイズ音楽が主人公と言えるぐらい、特に映画の前半はノイズ音楽が映画館内に響き渡る。荒れる海の激しい波の音から始まったこの映画は、音を消してしまうような雪の降る場面で閉じら…
◆『フライトプラン』監督:ロベルト・シュベンケ/2005年/アメリカ/98分 これは、小粒ながらなかなかの作品。特に前半から中盤までは見応えがある。最後、あっけなく事件が解決してしまうのは惜しい気がするけれど。飛行中の飛行機を密室にするというアイ…
◆『悪魔の棲む家』監督:アンドリュー・ダグラス/2005年/アメリカ/90分 昔ヒットしたホラー映画ということなので、かなり期待して見に行ったのだが、やや期待はずれ。もうちょっと怖くても良かったかなと。 かつて陰惨な事件のあった家に移り住んで、徐々…
◆『博士の愛した数式』監督:小泉堯/原作:小川洋子/2005年/日本/117分 この前、小説を読んだので、どんなふうに映画化されるのか楽しみにしていた。やや原作の内容を変えていたが、映画も小説同様にすばらしかった。 映画では、大人になった家政婦の息…
◆『張込み』監督:野村芳太郎/原作:松本清張/1958年/116分 野村芳太郎の出世作と言える作品。非常にうまく構成された脚本だと思う。脚本の橋本忍がすばらしい。 冒頭、タイトルが出るまでが非常にかっこいい作品。二人の男が、汽車に駆け込み乗車すると…
◆『影の車』監督:野村芳太郎/原作:松本清張「潜在光景」/1970年/松竹/98分 これも傑作。一言で言ってしまえば、この映画は郊外を舞台にした不倫物だが、ホラー映画っぽいとも言えそう。 平凡なサラリーマンが、ある日昔の知り合いの女性と出会う。その…
◆『鬼畜』監督:野村芳太郎/原作:松本清張/1978年/松竹/110分 印刷業を営む男が、妻に隠れて女性を囲って、しかも子どもを3人作っていた。しかし、経営状態が悪くなり、愛人やその子どもの面倒を見る余裕がなくなる。愛人は意を決して、男のもとに押し…
◆『ゼロの焦点』監督:野村芳太郎/原作:松本清張/1961年/松竹/95分 傑作。久我美子と高千穂ひづるの二人が良い。やはり野村芳太郎は、松本清張の作品の映画化がふさわしい。前に『女の一生』を見たとき、野村芳太郎は女性を描くのが上手ではないのかも…
◆『キッスで殺せ』監督:ロバート・アルドリッチ/1955分/アメリカ/108分 字幕がなかったので、物語の内容が理解できなかった。仕方がないので、おそらくフィルム・ノワールなのだろうと予想しながら、ひたすら映像だけ見ていたが、けっこう面白かった。し…
◆『男たちの大和 YAMATO』監督:佐藤純彌/原作:辺見じゅん/2005年/東映/145分 話題になっているので見に行ったのだが、出来がイマイチで残念だった。同じく戦艦物である『亡国のイージス』のほうがエンターテイメントとして楽した。 思うに、この映画は…
◆『迷走地図』監督:野村芳太郎/原作:松本清張/1983年/136分 これは、権力と金とスキャンダルが渦巻く政治の世界を描いた作品。政権第一党の実力者である寺西(勝新太郎)が、次期総理の座を虎視眈々と狙っていた。そんな大事な時、寺西の有能な秘書(渡…
◆『左ききの狙撃者 東京湾』監督:野村芳太郎/企画:佐田啓二/1962年/松竹/83分 野村芳太郎作品の中でも、かなり良い出来の映画だと思う。傑作と言って良い。犯罪捜査を通じて、社会の暗部を浮かび上がらせ、事件と関連した人間関係を描く物語を撮ると、…
◆『女の一生』監督:野村芳太郎/1967年/松竹/120分 原作はモーパッサンの『女の一生』。これを信州の旧家を舞台にして、この家の跡取り娘である伸子の一生が語られる。ヒロインの伸子は岩下志麻が演じている。 伸子は戦争中病気で療養所で過ごし、戦後に…
◆『どんと行こうぜ』監督:野村芳太郎/1959年/松竹/90分 脚本を野村芳太郎と大島渚が書いている。大島渚というと、つい政治的な色彩の濃い映画をイメージしてしまうのだが、この映画は大学生を主人公にしたコメディで、かなり面白い内容だった。 大学の放…
◆『背徳のメス』監督:野村芳太郎/原作:黒岩重吾/1961年/松竹/87分 この映画は、男の理不尽さが女を抑圧する物語と言える。毎夜、女性と遊び回っている医者の植(うえ)は、病院の創立パーティーの夜、酔って寝ていたところガス漏れのために、あやうく…
◆『配達されない三通の手紙』監督:野村芳太郎/原作:エラリィ・クイーン/1979年/松竹/131分 いかにも推理小説という感じの物語。結婚直前に失踪した男が3年ぶりに戻ってくる。両親の反対を押し切り、紀子はこの男と結婚する。新しい生活がはじまった直…
◆『事件』監督:野村芳太郎/原作:大岡昇平『事件』/1978年/松竹/138分 19歳の少年が殺人犯としてつかまる。そして彼の裁判が始まる。この裁判の過程がこの映画の物語となる。裁判を通じて「事件」の真相が明らかになっていく。裁判のなかで明らかになっ…
◆『真夜中の招待状』監督:野村芳太郎/原作:遠藤周作『闇の呼ぶ声』/1981年/松竹/125分 兄弟が次々と蒸発していく。やがて一番仲の良かった兄まで蒸発してしまい、ノイローゼに陥る樹生。樹生の婚約者圭子は、精神科医の会沢に相談し、樹生兄弟の失踪の…
◆『伯林大都会交響楽』監督:ヴァルター・ルットマン/原案:カール・マイヤー/1927年/ドイツ/60分 ベルリンの一日をコラージュした映像作品。この映画は、当時かなり注目された作品だと思う。日本でもけっこう話題になっていたのではないだろうか。 この…
◆『カメラを持った男』監督:ジガ・ヴェルトフ/1928年/USSR/70分 解説を読むと、デニスとミハイルとボリスというカウフマン三兄弟がいて、そのうち長男のデニスが、ジガ・ヴェルトフと名乗ったという。弟のミハイル・カウフマンは、この映画の撮影を担当…
◆『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』監督:マイク・ニューウェル/2005年/アメリカ/157分 はじめて「ハリー・ポッター」の映画を見た。私は本も読んだことがないので、まったく設定が分からない。なので、この映画は全然ついていけず。ちゃんとシリーズ…
◆『ALWAYS 三丁目の夕日』監督:山崎貴/2005年/日本/133分 原作のコミックについてはまったく知らないのだけど、映画はなかなか面白かった。この映画にノスタルジーを感じるとすれば、やはり人々がまだ「意欲」を持っていたということに対してだろう。人…
◆『TAKESHIS'』監督:北野武/2005年/日本/105分 マスコミの報道では、内容が複雑すぎて何が何だか分からない映画だと評判があまり芳しくなかったので、それなりに覚悟して見に行ったのだが、かなり面白い映画だった。たしかに、物語は複雑に入り組んでい…
◆『春の雪』監督:行定勲/2005年/日本/151分 予想以上に良い出来だった。三島の熱烈ファンで、若尾文子のファンでもあるので、この映画は絶対に見逃せない。『春の雪』は、三島の小説のなかでも特に好きな作品なので、これがどんなふうに映画になるのかが…
◆『アワーミュージック』監督:ジャン=リュック・ゴダール/2004年/フランス=スイス/80分 2回目。この前は京都で見たが、きょうは大阪で見た。一度見ているので、ストーリーを気にせず見ることができた。前回は、ストーリーを掴むだけで精一杯で、どのよ…
◆『おかあさん』監督:成瀬巳喜男/1952年/新東宝/98分 この映画は傑作だ。田中絹代がおかあさん役で、その娘役を香川京子が演じている。この家族は、まず長男を病気で亡くし、つぎにクリーニング屋をしていた父親も病気で亡くなってしまう。おかあさんの…
◆『放浪記』監督:成瀬巳喜男/1962年/宝塚映画/117分 林芙美子原作。林芙美子の自伝的な作品だが、この林芙美子の役を高峰秀子が演じている。近眼で猫背の冴えない風貌の人物を、高峰秀子が演じていたのが面白い。貧乏で、子どものころから親子で放浪生活…