ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』

◆『カメラを持った男』監督:ジガ・ヴェルトフ/1928年/USSR/70分
解説を読むと、デニスとミハイルとボリスというカウフマン三兄弟がいて、そのうち長男のデニスが、ジガ・ヴェルトフと名乗ったという。弟のミハイル・カウフマンは、この映画の撮影を担当している。ちなみにボリスは、のちにフランスでジャン・ヴィゴのカメラマンになり、戦後はアメリカに渡った。
ジガ(Dziga)はウクライナ語で「独楽」を意味する。ヴェルトフ(Vertov)はロシア語で「回転する、旋回する」という意味だそうである。すなわち、ジガ・ヴェルトフとは「永久運動」を意味するという。なるほど、たしかにこの映画には「回転」「旋回」のイメージが強い。手回しのカメラとか列車の車輪だとか、工場の機械などもすべて「回転」運動をしている。非常に激しい動きをする映像があったり、人間の身体の動きはスローモーションで捉えたりと、映画は全体としてダイナミックな映像が続く。都市の映像をコラージュしているところも興味深い。
映画史において、『カメラを持った男』はしばしば言及されているので、作品名は以前から知っていたが、どんな映像なのかがずっと気になっていた。ようやく映像を目にすることができて、映像のコラージュがどのようなものだったのかが分かった。