野村芳太郎『左ききの狙撃者 東京湾』

◆『左ききの狙撃者 東京湾』監督:野村芳太郎/企画:佐田啓二/1962年/松竹/83分
野村芳太郎作品の中でも、かなり良い出来の映画だと思う。傑作と言って良い。犯罪捜査を通じて、社会の暗部を浮かび上がらせ、事件と関連した人間関係を描く物語を撮ると、野村芳太郎は力を発揮する。
この映画の見所がラストシーンであるのは、もう間違いない。犯人を追いかけて列車に乗り込んだ刑事が、その犯人ともみ合いになるアクションシーンの迫力に興奮した。手錠で繋がった刑事と犯人が、もみ合いをしているうちに、犯人のほうが列車から落ちてしまう。列車に引きずられる犯人。このシーンは、迫真の映像に仕上がっていた。