野村芳太郎『配達されない三通の手紙』

◆『配達されない三通の手紙』監督:野村芳太郎/原作:エラリィ・クイーン/1979年/松竹/131分
いかにも推理小説という感じの物語。結婚直前に失踪した男が3年ぶりに戻ってくる。両親の反対を押し切り、紀子はこの男と結婚する。新しい生活がはじまった直後、夫の妹という女性がやってきて、居候をはじめる。夫の妹は非常に野蛮で、図々しい。ある日、夫の書いた手紙を紀子は見つける。その後、紀子には次々と災難が降りかかるようになる。紀子は誰かに命を狙われているようなのだ。紀子の妹たちが、この事件の謎を解き始めるが、悲劇は夫の誕生パーティーで起きる。――
それほど凝った設定ではないので、謎解きとしてはそれほど面白くないし、物語そのものもイマイチだった。そもそも、この夫は真面目だが小心者で、何を考えているか分からない人物なのだが、女性になぜかもてる。優柔不断のくせに女性にもててしまうことが、この悲劇の原因なのかもしれない。夫がもっとしっかりした人物だったなら、女性たちが苦しまなくて済んだのにと、この夫に対し憤りを覚える。物語の設定に腹を立てても仕方がないのだが。