2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫『永すぎた春』

◆三島由紀夫『永すぎた春』新潮文庫、1960年12月 お昼にテレビでやっているような通俗メロドラマだな、という印象。すごくテンポが速いのだ。出会って、婚約して、だけど結婚式だけはお預け状態の二人。その間、二人にはさまざまな問題が生じて、悩んだりす…

群ようこ『鞄に本だけつめこんで』

◆群ようこ『鞄に本だけつめこんで』新潮文庫、1990年10月 この本は良い!。猫の「トラちゃん」の話など、たしかに涙ものだ。全部で24冊の本について語った本。たんなる書評ではなくて、エッセイといったほうが正確なのかも。家族や友人の話、子供のころの話…

軽く読める本を買ってみる

◆三島由紀夫『若きサムライのために』文春文庫 ◆三島由紀夫『行動学入門』文春文庫ISBN:4167124017 ◆群ようこ『鞄に本だけつめこんで』新潮文庫ISBN:4101159114 さきの『評論家入門』のなかで、これからはエッセイが良いのではないかという話をしていた。そ…

ジョン・ネイスン『新版・三島由紀夫』

◆ジョン・ネイスン(野口武彦訳)『新版・三島由紀夫―ある評伝―』新潮社、2000年8月 三島の評伝としてはかなり有名でかつ重要な文献。三島研究をするなら、とりあえず目を通すべき文献だろう。 著者は、東大に留学していた日本文学の研究者で、三島の『午後…

小谷野敦『評論家入門』

◆小谷野敦『評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に』平凡社新書、2004年11月 「評論」と「研究」のちがいの説明をはじめているように、要するに日本の「評論」と呼ばれる一つのジャンル(?)を批評した本だと思う。そのように私は読んだので、面…

是枝裕和『誰も知らない』

◆『誰も知らない』監督:是枝裕和/2004年/日本/141分 期待を裏切らない素晴らしい作品。思わず物語に入り込んでしまった。こういう時は、うまく感想が書けない。 是枝監督の作品は、『幻の光』以来なのだけど、非常に丁寧に映像を撮る人だなあという印象…

ますます落ち込む

◆小谷野敦『評論家入門』平凡社新書、2004年11月ISBN:4582852475 タイトルが気になっていた本。いそいで読みたい。パラパラっと眺めたところ、私なんか、もっともっと焦らないとダメだと落ち込む。

森鴎外『渋江抽斎』

◆森鴎外『渋江抽斎』岩波文庫、1999年5月(改版) この前読んだ『百年の誤読』のなかで紹介されていた。その中で、評者の二人ともが苦手な作品と述べていたので、一体どんなことが書かれているのかが気になったのだ。 読みはじめてみるとすぐに気が付くこと…

三島由紀夫『近代能楽集』

◆三島由紀夫『近代能楽集』新潮文庫、1968年3月 三島の中世へのこだわりは、しばしば言及されることだが、「近代能」という試みも、そうした三島のこだわりから生じたことなのだろう。私は演劇は詳しくないし、戯曲を読むのが苦手なので、この方面での三島の…

三島由紀夫『三島由紀夫 十代書簡集』

◆三島由紀夫『三島由紀夫 十代書簡集』新潮文庫、2002年11月 三島が十代のころ、どんなことを考えていたのか。そのことを考える際に、この本はとても役立つだろう。ここでは、三島が文学創作上での師として尊敬していた東文彦宛の書簡が収められている。とて…

三島由紀夫『三島由紀夫映画論集成』

◆三島由紀夫『三島由紀夫映画論集成』ワイズ出版、1999年11月 三島の映画論をまとめて読めるので、とても重宝な一冊。三島の映画評は、作家にありがちのたんなる印象論ではなく、きちんと場面分析をしていたりして映画批評のあり方として学べる点は多い。や…

ルキノ・ヴィスコンティ『山猫』

◆『山猫』監督:ルキノ・ヴィスコンティ/1963年/イタリア・フランス/161分 壮大なコスプレ映画。久しぶりに長時間の映画を堪能したなあという感じ。すべて本物なんじゃないの!というぐらい、豪華なシーンの連続。ヴィスコンティしか、作れない世界だなあ…

現在読書中!

きょうは本を一冊読み終えることができなくて、日記に書くことがないのが残念。いま、『三島由紀夫映画論集成』と『渋江抽斎』と『ニーチェと悪循環』を読んでいるところ。ちなみに、この3冊には何も関連はない。ただ、手元にあった本を読んでいるというのが…

三島由紀夫関連

◆『新文芸読本三島由紀夫』河出書房新社、1990年11月isbn:4309701558 三島に関する知識を増やすために。

蓮實重彦『映画狂人最後に笑う』

◆蓮實重彦『映画狂人最後に笑う』河出書房新社、2004年9月 いつのまにかシリーズとなって、全部で10冊も出た『映画狂人』。その最終巻となるのが、この『映画狂人最後に笑う』だ。私はいちおう全10冊買ったはずだけど、読んだのは最初の『映画狂人日記』と今…

たしかによく見かけた名前かも

サルトルの「嘔吐」翻訳、仏文学者の白井浩司氏が死去 フランス文学者で慶応大名誉教授の白井浩司(しらい・こうじ)氏が1日午後零時20分、肺炎で亡くなった。87歳。(…) 東京都生まれ。1947年に哲学者、サルトルの小説「嘔吐」の翻訳を刊行するな…

岡野宏文・豊崎由美『百年の誤読』

◆岡野宏文・豊崎由美『百年の誤読』ぴあ、2004年11月 とてつもなく面白い。今年読んだ本で、ベストワンだと思う。ほんとに声を出して大笑いをしながら読んだ。 過去百年間の話題作、ベストセラーに二人が突っ込んでいくのだけど、このツッコミがおかしくてた…

夏目房之介『マンガ学への挑戦 進化する批評地図』

◆夏目房之介『マンガ学への挑戦 進化する批評地図』NTT出版、2004年10月 一気に読んでしまった。とりあえず、先に記したとおり、漱石に関しては再考の余地がある。これは、マンガ学、マンガ批評を中心テーマとする本書では、かならずしも重要な点ではないが…

映画とマンガ

◆蓮實重彦『映画狂人最後に笑う』河出書房新社 ◆夏目房之介『マンガ学への挑戦』NTT出版isbn:4757140843 ◆澁澤龍彦『三島由紀夫おぼえがき』中公文庫isbn:4122013771 きれいな本を手に入れたいと、bk1で注文したのに、『映画狂人最後に笑う』にほんのかすか…

ニーチェとクロソウスキー

◆ピエール・クロソウスキー(兼子正勝訳)『ニーチェと悪循環』ちくま学芸文庫 フランス現代思想でも重要そうな本なので、ちょっと読みにくそうだがチャレンジの意味で買ってみた。

シェーン・メドウス『家族のかたち』

◆『家族のかたち』監督:シェーン・メドウス/2002年/イギリス/104分 シェーン・メドウスという監督の作品を初めて見た。『トゥエンティフォー・セブン』という作品を撮った監督らしいが、この作品もまったく知らなかった。カンヌ映画祭で好評だったと宣伝…

言語の問題

◆『比較文學研究』84号、2004年 「特輯 共通言語・支配言語と比較文学」 この特集には、いろいろ考えることがあるのだけど、とりあえず以下の二つの論文は読んでおきたい。 ・大澤吉博「特輯「共通言語・支配言語と比較文学」に寄せて」 ・平川祐弘「覇権的…

ウォン・カーウァイ『2046』

◆『2046』監督:ウォン・カーウァイ/2004年/香港・中国・フランス・日本/シネマスコープ/130分 正直、感想を書くのは難しい映画だ。というのも、私がこの映画をきちんと把握できたという自信がないからで、そのために最近はあまり買うことのないパンフレ…

シンセミア

「毎日出版文化賞決まる…文学部門「シンセミア」など」YOMIURI ON-LINE / 芸能・文化→http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20041103ic01.htm 第58回毎日出版文化賞(毎日新聞社主催)が決まった。受賞者、受賞作は次の通り。 ▽文学、芸術部門 阿部和重…

ベストセラーを読む

◆岡野宏文・豊崎由美『百年の誤読』ぴあ、2004年11月isbn:483560962X 過去100年間、日本ではどんな本が読まれてきたのか、とても気になる。面白そうな内容だったので買ってみた。過去百年のベストセラーがどんなものだったのか、なんていう知識は持っておき…

江藤淳『成熟と喪失』

◆江藤淳『成熟と喪失―"母"の崩壊―』講談社文芸文庫、1993年10月 この本が引用されるとしたら、たいてい小島信夫の『抱擁家族』の分析の箇所だ。その理由が再読してみてよく分かった。『抱擁家族』の分析がいちばん面白い。ほかにも、安岡章太郎『海辺の光景…

佐伯彰一『評伝 三島由紀夫』

◆佐伯彰一『評伝 三島由紀夫』中公文庫、1988年11月 「評伝」とタイトルのあるけれど、実際は著者の三島論を集めた本だといっていい。だけど、各論はさすがにどれもすばらしくて参考になる。これまで何冊か三島の研究書を読んできたけど、私の理想とする研究…

新潮文庫編『文豪ナビ三島由紀夫』

◆新潮文庫編『文豪ナビ三島由紀夫』新潮文庫、2004年11月 この本は、なかなか良いのではないか。これから三島の小説を読んでみようかなと思っているに最適だと。 三島の作品はたくさんあるので、どの本を読めばよいのか迷うところだけど、この本では次のよう…

「君は三島派か太宰派か」

十八歳くらいだったろうか、京大の文学青年から「君は三島派か太宰派か」と問われたことがある。(p.108) と『文豪ナビ 三島由紀夫』のなかで、作家花村萬月が書いていた。この問いは、おもしろいなあ。あえて三島派になって太宰派と対決してみるのも悪くない…

「文豪ナビ」は役立つのか

◆新潮文庫編『文豪ナビ 三島由紀夫』新潮文庫 とりあえず、「三島由紀夫」の巻を買ってみた。自分の研究に少しでも役立つことが書いてあるのかなあと期待してみる。もし良かったら、他の作家の巻も買ってみたい。