ジョン・ネイスン『新版・三島由紀夫』

◆ジョン・ネイスン(野口武彦訳)『新版・三島由紀夫―ある評伝―』新潮社、2000年8月
三島の評伝としてはかなり有名でかつ重要な文献。三島研究をするなら、とりあえず目を通すべき文献だろう。
著者は、東大に留学していた日本文学の研究者で、三島の『午後の曳航』の翻訳をした。三島とはかなり深い交流があったらしいが、『絹と明察』の翻訳をめぐって、交流が絶たれたことなどがちょっと書かれてある。たくさんの関係者に調査をしてまとめた評伝なので、かなり参考になることが多い。後の三島研究に少なからず影響を及ぼしていることに注意。
今、ちょうど『ニーチェと悪循環』を読んでいる途中なので、三島が胃痙攣などの病気に苦しんでいたという挿話が気になった。「永劫回帰」とか「輪廻転生」に関心が向いてしまうのは、定期的に襲われる身体の苦しみとやはり関係があるのだろうか。

三島由紀夫―ある評伝

三島由紀夫―ある評伝