三島由紀夫『三島由紀夫 十代書簡集』

三島由紀夫三島由紀夫 十代書簡集』新潮文庫、2002年11月
三島が十代のころ、どんなことを考えていたのか。そのことを考える際に、この本はとても役立つだろう。ここでは、三島が文学創作上での師として尊敬していた東文彦宛の書簡が収められている。とても16歳ぐらいの少年とは思えない分析能力を発揮していて、私のような凡才には、驚くべき才能だとあらためて三島のすごさを感じる。
私の関心から読んでみると、いくつかの箇所で、小説を評しながら「シネマ的手法」という言葉を用いている。三島は子供のころを振り返った文章のなかで、芝居を見るのは中学まで禁じられていたが、不思議と映画は幼少のころからよく見に行っていたということを述べている。こうした挿話や、「シネマ的手法」という言葉は、三島が早くから映画に親しんでいたことを証するものとなるだろう。

三島由紀夫 十代書簡集 (新潮文庫)

三島由紀夫 十代書簡集 (新潮文庫)