2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

運動(変化)を見ること

◆夏目漱石『三四郎』岩波文庫 久しぶりに読み返してみる。読み始めたら、意外にさくさくと読めた。昔読んだときは、ところどころつまづきながら読んだ、という記憶があったので、なんだか不思議な読書だった。

時代に没頭してはいけない

◆石川啄木『時代閉塞の現状 食うべき詩 他十編』岩波文庫 ちょっと必要があって、啄木の文章を読んでいたのだけど、啄木はけっこう面白い評論が多い。というか、こういう「せっかち」な判断というか思いこみは良くないのだけど、冗談半分で言うと、明治40年…

知識人はつらい

◆小谷野敦『すばらしき愚民社会』新潮社 ◆フロイト『モーセと一神教』ちくま学芸文庫 ここで批判の的になる「愚民」とは、「大衆」ではなく、大学教授や評論家、はたまた大学院生にいたる知的エリート層のことだ。つまり、この本は大衆批判がテーマなのでは…

大丈夫なのか日本は

◆小谷野敦『すばらしき愚民社会』新潮社 序章の部分を読んだのだけど、ほんとに本というものは読まれていないのだなあと思う。日本のごく一部の人が本を読み、さらにそのなかでもごく一部の人がこういった評論書を読む。これを知識人は忘れてはいけない。馬…

ちょっとがっかり

◆『宗方姉妹』監督:小津安二郎/1950年/新東宝・東宝/白黒/サウンド版/97分 この映画は、松竹ではなくて東宝で撮った作品なのか。これはどういう経緯があったのだろうか? それにしても、この映画は、小津らしい映画ではないように感じた。ちょっとがっ…

ときどき面白いところがある

◆吉田司雄ほか『妊娠するロボット』春風社 1920年代の日本における「科学」の言説と文化の関係をめぐる論文集。全体を見渡すと、いわゆる資料の羅列のような論文ばかりで、退屈する論文ばかりなのだけど、時折面白い資料なんかも混じっていたりして、その点…

それは結局「批判」の問題なのだ

◆柄谷行人『探究Ⅱ』講談社 上記のようなことを考えながら、『探究Ⅱ』を読んだ。実は、これまで『探究Ⅰ』も『探究Ⅱ』も読んだことがない。というか、避けてきた。柄谷行人の文学関係の評論は好きなのだけど、哲学関係は私にはよく理解できないからだ。とは言…

昨日(2004年9月1日)の日記のつづき

さて、危うさを含んでいるけれど、先にも述べたように、本書は文学研究の現状批判は傾聴に値するところがある。そのうちの一つに、私が以前考えていたことと近いことが書かれてあった。 私がこの日の日記*1のなかで書き殴ったことは、こういうことだ。つまり…

日本近代文学の「躓き」?

◆すが秀実『「帝国」の文学 戦争と「大逆」の間』以文社 思うに、すが氏は批評家にしては、アカデミックな世界にも目を配らせていて、アカデミックな日本文学研究を「外部」から批判している。その批判が的を射ているのかどうかは別として、私は面白い批評だ…