なんとか読み終えることはできたが

立岩真也『自由の平等』岩波書店
一筋縄では読み解けない本だ。すくなくとも私のような不勉強な人間には。『私的所有論』のつづきとなる本だと思うのだけど、そもそも『私的所有論』もまともに私は理解できていないので、著者が主張したいことをどうしても掴みかねる。
私が作った物や産み出したものは私のものだ、という一見すると自明のように感じられる「私的所有」という概念に「待った!」とかけるということで良いのだろうか。本当に、私が産み出したものは私のものだと言い切れるのか。疑問を差し込む余地がないか。
そこから、「分配」の問題ももう一度考え直されるだろう。公平な「分配」とはいかなることか。誰が、誰にどれぐらい「分配」するのか。「分配」を受ける側の問題はなにか。このあたりを、ねばり強くけっして軽やかとは言えない思考のプロセスを展開するのだが、著者が粘り強くても、読み手の私は粘りがないので、途中で降参してしまった…。
立岩氏は、けっして難解な言い回しなど用いて書いているわけではない。ここに書かれている考えは、とても興味があるので、なんとか読み解いていつか理解したい、と思う。「私的所有」について考えること、たとえば、これは著作権という問題を考える時に非常に有効だと思える。だから、この本は現代社会を分析する際に必要となると思われる。でも、難しい。