オリヴァー・ヒルシュピーゲル『ヒトラー〜最後の12日間〜』

◆『ヒトラー〜最後の12日間〜』監督:オリヴァー・ヒルシュピーゲル/2004年/ドイツ/155分
この映画は退屈だった。映画の最後に、この秘書本人(?)がインタビューに答えている場面が挿入されているのだが、それも平凡な答えしかしておらず、あまり挿入した意味がない。要するに「真実」なのですよと強調したいのだろうが、そういう手法自体が凡庸なのかもしれない。
敗戦直前のヒトラーや幹部たちの様子を、彼の女性秘書の目を通して描くというのが、この映画の触れ込み。とはいっても、ドキュメンタリーではなく完全な劇映画である。敗戦濃厚で、ソ連軍のいますぐにでも侵入してきそうなのだが、ヒトラーはあくまでベルリンを脱出せず、ひたすら妄想のような作戦を部下に命令し続けている。そんなヒトラーの命令が無謀だと分かっていても、部下のなかには、忠誠を誓ったのだからと命令を実行しようとしていた人がいたのは驚く。狂気じみた言動のヒトラーなんて、部下全員で裏切って、たとえば幽閉でもしてしまえばいいのにと思ってしまう。