樋口真嗣『日本沈没』

◆『日本沈没』監督:樋口真嗣/2006年/日本/135分
映画には「沈没もの」と呼べるようなジャンルがあるのか、巨大な船が沈没していくドラマがある。『タイタニック』とか、最近なら『ポセイドン』だとか。日本なら『男たちの大和』も「沈没もの」と言える。こういう映画は、沈むものが巨大であればあるほど、見応えがあって面白い。その点でいうと、この『日本沈没』は過去の「沈没もの」でも最も巨大なものではないだろうか。正確には船ではなく、日本なのではあるが。あまりにも巨大すぎて、沈没の様子は宇宙からの視点でないと捉えきれないのだ。この巨大さだけで、『日本沈没』は大成功だと思う。こんな巨大なものが沈んでいくのだから、もうワクワクしてしまう。
さらに、『ローレライ』の樋口監督らしく、最後は「潜水艦もの」へと物語が展開していく。草磲剛が乗り込む潜水艇内部のメカニックな構造は、機械フェチにはたまらない。船が舞台となる映画は、いかにマニアックな機械構造を見せるかが、けっこう重要なのだろう。