小林政広『バッシング』

◆『バッシング』監督:小林政広/2005年/日本/82分
シネ・ヌーヴォにて。今日は公開初日で、監督の小林政広さんと主演の占部房子さんの舞台挨拶があるというので、見に行ってみた。
映画はかなり面白かった。最近ずっと「自己責任」について考えていたので、この映画の内容は考えさせられる。
物語は、例のイラクでの人質事件を想起させるもので、人質事件のあと日本に帰国してから人々にバッシングされ続けている一人の女性とその家族を描く。バッシングを受ける「有子」は、事件後から半年も経つというのに、バイトはクビになるし恋人には振られる。さらには父親も会社を辞めざるを得なくなり、絶望した父や自殺してしまう。映画では、有子が海を見つめている場面が何度かくり返されるが、この海は日本の外部を表わしている。したがって、日本では自分を受け入れてくれる場所がないと悟った彼女は、日本の「外」へ再び旅立つことを決意する。
父親の死後、有子がコンビニに買い物に行くと、店員ににらまれ買い物を拒絶される場面があるのだけど、この場面は面白い。このコンビニ店員の正義感が、どこから生まれるのかが気になる。というか、商売しろと突っ込みたくなる。しょせん、正義感なんてつまらないものであることがよく理解できる場面だった。