出目正伸『バルトの楽園』

◆『バルトの楽園』監督:出目正伸/2006年/日本/134分
第一次大戦のとき、青島を攻略した日本は多くのドイツ軍兵を捕虜とする。日本各地の捕虜収容所に兵士が送られていくのだが、その一つである徳島の「板東捕虜収容所」が舞台となる。他の収容所では、捕虜たちがひどい扱いを受けていたが、板東はちがった。所長の「松江豊久」の方針で、捕虜の人権を尊重した。また、地域住民とドイツ人の交流もあり、この収容所を中心に、板東の地は日独の文化交流の場となっていく。――
このリベラルな所長を演じるのが、暴れん坊将軍松平健。ドイツ軍の総督を演じるのは、『ヒトラー〜最期の12日間』でヒトラー役を演じたブルーノ・ガンツブルーノ・ガンツは、『ヒトラー〜最期の12日間』のときも、地下防空壕にこもっていたが、『バルトの楽園』でも部屋に籠もっている。しかも、ドイツの敗戦の知らせが届くや、自殺をしようとする場面などは、『ヒトラー〜最期の12日間』に通じるところがあって面白い。ほかにも、『SAYURI』でさゆりの子ども時代を演じた大後寿々花が出演しているが、彼女はドイツ人とハーフの娘という役ということで、青い目をしているのが特徴となる。青い目といえば、さゆりの芸者としての最大の武器だったではないか。この映画を見ていると、他の映画のイメージが重なってきて、非常に楽しかった。松平健は、踊っているし。