2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

三島の本いっぱい

◆柄谷行人『定本柄谷行人集1 日本近代文学の起源』岩波書店 ◆三島由紀夫『殉教』新潮文庫 ◆三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』新潮文庫asin:4101050023 ◆三島由紀夫『小説家の休暇』新潮文庫asin:4101050309 ◆三島由紀夫『私の遍歴時代』ちくま文庫asin:44800…

『1970・11・25 三島由紀夫』

◆いいだもも『1970・11・25 三島由紀夫』世界書院、2004年3月 いいだももは、三島と東大法学部で同級生になるという。この本は、三島の自決の一ヶ月後には出ていた。それが、今年になって、宮台真司の解説を付けて復刊された。いいだの三島由紀夫に関する文…

『三島由紀夫が復活する』

◆小室直樹『三島由紀夫が復活する』毎日ワンズ、2002年11月 小室博士の三島論なのだけど、残念ながらあまり参考にならない。三島の文章の引用がたくさんあって、ほとんどそれについての説明がない、というのは本書の特徴だ。なので、小室が何を主張したいの…

『倅・三島由紀夫』

◆平岡梓『倅・三島由紀夫』文春文庫、1996年11月 この本は、当然三島の評伝を読むと必ず引用される本で、読む前から何が書かれているのか分かっていたけれど、きちんと自分で読んでた。 実際に読んでみると、著者の独特な語り口に驚く。もしかすると、これが…

『「伝統」とは何か』

◆大塚英志『「伝統」とは何か』ちくま新書、2004年10月 私は『物語消滅論』について、どうしてこのような本を書いたのか理解しにくいと感じたが、もう一冊の新刊であるこの『「伝統」とは何か』もまた私には理解しにくい。はっきりと「民俗学」批判あるいは…

『物語消滅論』

◆大塚英志『物語消滅論』角川書店 大塚英志版「物語批判序説」という感じだろうか。この本は、語り下ろしという形式になっている。物語がイデオロギーと化しているというアイデアを伝えるには、この形式が良いだろうと判断したと「あとがき」で述べている。…

デリダが…

デリダが亡くなる。そうか、病気だったのか。「68年」も遠くなりにけり、という感じなのかなあ。 ともかく、これから年末にかけて、雑誌ではデリダ特集が組まれ、デリダの書籍も次々と出るのだろうなあ。やばい、またたくさん買うハメになるのだろうか…。

大塚英志の新書2冊

◆大塚英志『「伝統」とはなにか』ちくま新書 ◆大塚英志『物語消滅論』角川書店 本屋でぶらぶらしていたら、大塚英志の新しい本を2冊見つける。なんとなく、似たような内容の話かもと思ったが、とりあえず購入。一連の「物語」批判。『物語の体操』などの本の…

○か×か、それとも別の方法が…

たとえば、戦時中は「産めよ、ふやせよ」という合い言葉のもとに、「母性」を国家が利用し、女性を総動員体制へと組みこんだと批判がある。このような研究をもとに、文学研究者は、たとえば子どもを産まない女性が登場する小説を「戦争」への抵抗の書と意味…

『お伽草子・新釈諸国噺』

◆太宰治『お伽草子・新釈諸国噺』岩波文庫、2004年9月 私はそれほど熱心な太宰読者ではなくて、初期の作品と戦後の作品ぐらいしかこれまで読んだことがない。私自身も自意識過剰なところがあるので、太宰の小説を読むと、その語り手なり登場人物のダメっぷり…

Le philosophe Jacques Derrida est mort

Le philosophe français le plus commenté et le plus traduit au monde ces dernières années, notamment aux Etats-Unis, Jacques Derrida, mort dans la nuit de vendredi à samedi à l'âge de 74 ans, était célèbre pour son concept de "déconstructio…

仕方がない

◆三島由紀夫『仮面の告白』新潮文庫 ◆三島由紀夫『禁色』新潮文庫 書き込みをするための本を買う。しかし、ちょっと前にやはり書き込み用に『仮面の告白』を買っていた。そのことをすっかり忘れて、また買ってしまった。ただでさえ、本の置き場もないし、お…

『三島由紀夫伝説』

◆奥野健男『三島由紀夫伝説』新潮文庫 評伝というのは、どうしても似たような記述が出てくるもので、それは仕方がないのだけど、この本もまた三島家の祖母の圧倒的な支配力、三島の身体コンプレックスからボディビル、徴兵検査の話、同性愛傾向、天皇、そし…

『麦秋』が見たくなる

◆『釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない !?』監督:朝原雄三/2004年/松竹/107分 『釣りバカ日誌』の15作目になるのだけど、はじめて映画館で見た。というか、まともに見たこと自体がはじめてかも。よくテレビで放映しているけれど、テレビではあまり映…

『なおかつ、お厚いのがお好き?』

◆『なおかつ、お厚いのがお好き?』扶桑社 少々強引でも、難解な思想や文学を分かりやすく単純化して説明してあるのは参考になる。こんな風に本の紹介ができると良いかも。私的には、フーコーとかドゥルーズがあったので、それがどのように解説されているの…

反省そしてこれからの目標

私自身、今書いている論文の方法が、安易に歴史や社会状況と絡ませて、テクスト外のことばかり論じてしまう傾向にある。その方法は、完全に失敗だったなあと思う。書いてしまった以上、とりあえず最後までこの方法で論文を書かなければいけないのだが、明ら…

『三島由紀夫とテロルの倫理』

◆千種キムラ・スティーブン『三島由紀夫とテロルの倫理』作品社 とうとう出たか!。そうか、やってしまったなあという印象はまぬがれない。そう、「9・11」と三島を繋げて論じているのだ。いかにして、三島由紀夫がテロリストになったのか。そして、何を企ん…

ちょっとうれしい

アマゾンで、『熱い書評から親しむ感動の名著』の書評を読んでいたら、一人の書評者の方が、この本を読んで『アメリカの夜』を実際に読んでみたと書かれていた。自分の書評がきっかけとなって、原著を読んでくれたと分かって、ちょっぴりうれしくなる。こう…

影響をモロに受ける

◆岡本太郎『強く生きる言葉』イースト・プレス 一気に読んでしまった。熱い、そして力強い言葉に思わず引き込まれる。ああ、こういう本に弱いなあ。けっこう影響を受けてしまう。たとえば、こんなことを言われると、勇気づけられるものだ。 劣等コンプレック…

いろいろ買ってみる

◆小林秀雄『小林秀雄全作品 24』新潮社 ◆岡本太郎『強く生きる言葉』イースト・プレス ◆三島由紀夫『鏡子の家』新潮文庫 ひさびさに本のまとめ買いをした。ここのところ、「今日仕入れた本」のカテゴリーを書いていなかったような気がする。ほんとに本を買う…

映画とは「荒唐無稽」なのだ

◆蓮實重彦『映画 誘惑のエクリチュール』ちくま文庫、1990年12月 映画とは、そもそも「荒唐無稽」なものなのだ。その「荒唐無稽」に驚くこと、そして肯定し続けることが映画を見るということであるのだろう。 たとえば、映画の上映時間という「荒唐無稽」。…

自由そして「私」とは何か

◆大庭健『所有という神話』岩波書店 「所有」とりわけ「私的所有」という概念を倫理学の立場から、批判的検討を加えている。立岩氏の本と同じテーマだ。立岩氏の文章は、くねくねと執拗に考察を加えていくので、よく咀嚼しながら読まないとすんなり頭に入っ…

知的な刺激は受けなかったが

◆ピエール・ブリュネル『変身の神話』(門田眞知子訳)人文書院 著者は、フランスの比較文学研究の第一人者と言って良い人物。比較文学の研究らしく、この本でもギリシャ神話から哲学、ヨーロッパの文学などから「変身」の主題に関わる作品をたくさん持ち出…

読み直してみるか

最近感じたこと。私の愚かな偏見でしかなかったのだが、村上春樹というのはたしかに面白い小説を書く人だ、しかしそれほど真剣に評論するような対象ではないだろうと高を括っていた。だけど、私よりも一回り下の世代、具体的には学部生とか院生になったばか…

記号を読む

◆蓮實重彦『映画の神話学』ちくま学芸文庫 結局、本書は映像という記号を読む(映画だから観る)とはいかなることか、そしてどうすれば記号を読むことができるのか、その理論と実践が記された書であると言える。 映画における「自動車」の記号学、映画におけ…