『倅・三島由紀夫』

◆平岡梓『倅・三島由紀夫』文春文庫、1996年11月
この本は、当然三島の評伝を読むと必ず引用される本で、読む前から何が書かれているのか分かっていたけれど、きちんと自分で読んでた。
実際に読んでみると、著者の独特な語り口に驚く。もしかすると、これが「江戸っ子」の語り?と思うような、マスコミなどに対する皮肉な調子がところどころに顔を見せる。変に乾いた文章を書いており、たしかにこの人には三島のような「文学」は書けないだろうが、一種の才能を感じた。下手な評伝や研究書よりも面白いのは確かだ。