永井良和・橋爪紳也『南海ホークスがあったころ』

永井良和橋爪紳也南海ホークスがあったころ』紀伊国屋書店
今は無き大阪球場。そこを本拠地にしていた南海ホークスセ・リーグ中心になりがちなプロ野球の歴史を、南海ホークスそしてパ・リーグの側から記述するという試み。そして、話題の中心になるのは、建築としてのスタジアムであり、チームを応援するファンである。ファンが、球場で何を見て、何を感じ、何をしていたのか。プロ野球を人々がいかに受容してきたのか、その歴史が語られるのである。こうした歴史は、なかなか記録に残らないものであるし、学術的な面から分析を加えられることはなかったが、本書はプロ野球の歴史の新たな面に光りを当てたことになるだろう。