2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

河崎実『兜王ビートル』

◆『兜王ビートル』監督:河崎実/2005年/日本/70分 意外にというか、あまりに期待せずに見たのが良かったのか、けっこう面白い映画だった。永井豪が原作とあるのだけど、たしかに兜王ビートルの設定は、デビルマンに通じるところがある。悪の力をもって正…

矢口祐人『ハワイの歴史と文化』

◆矢口祐人『ハワイの歴史と文化 悲劇と誇りのモザイクの中で』中公新書、2002年6月 ハワイのことを何も知らなかったなあと痛感する。「南国」「リゾート」...etc、そんなイメージしか持っていなかった。ハワイといえば「南の島のハメハメハ大王」の歌のイメ…

柄谷行人『<戦前>の思考』

◆柄谷行人『<戦前>の思考』講談社学術文庫、2001年3月 以前に読んだことがある本かもしれないが、久々に読みかえしてみた。この本に収められているのは、90年代前半に行われた講演だ。語り口調なので、かなり読みやすく、内容も理解しやすい。 「議会制の…

関礼子『樋口一葉』

◆関礼子『樋口一葉』岩波ジュニア新書、2004年5月 一葉の入門書として、非常に良い本だと思う。一葉の人生を、主に一葉の日記を参照しながらたどっている。引用が豊富にあるので、一葉がどんな文章を書いていたのか、少し触れることもできるし、現代語訳も付…

若松孝二『17歳の風景 少年は何を見たのか』

◆『17歳の風景』監督:若松孝二/2005年/日本/90分 若松孝二の作品を初めて見た。この作品は、2000年に起きた事件を元にしたもので、母親を殺害した後、自転車で逃亡する17歳の少年が主人公の物語だ。 この映画が特徴は、主人公の少年がほとんど口をきかな…

徐京植『ディアスポラ紀行』

◆徐京植『ディアスポラ紀行−追放された者たちのまなざし−』岩波新書、2005年7月 著者は、「ディアスポラ」を「近代の奴隷貿易、植民地支配、地域紛争や世界戦争、市場経済グローバリズムなど、何らかの外的な理由によって、多くの場合暴力的に、自らが本来属…

四方田犬彦『星とともに走る』

◆四方田犬彦『星とともに走る 日誌1979-1997』七月堂、1999年2月 「ガロ」に連載されたものと、79年のソウル、87、88年のニューヨーク滞在時のノートよって本書は構成されている。したがって、かなりの量の文章が詰め込まれている。文章の量だけでも驚くべき…

ちょっと勉強する

◆関礼子『樋口一葉』岩波ジュニア新書、2004年5月(ISBN:4005004695) 樋口一葉が気になる。この本は、ジュニア新書だけど、かなり最新の研究が入っているっぽい。

幸田露伴『五重塔』

◆幸田露伴『五重塔』岩波文庫、1956年11月 幸田文の本を読んだので、その父露伴の小説も読んでみる。明治20年代の小説なので、すらすらと読めるような文章ではないのだが。 筋そのものは、それほど難しくない。大工だから頑固な職人物語と言えばよいのだろう…

中村政則『戦後史』

◆中村政則『戦後史』岩波新書、2005年7月(ISBN:4004309557) 予想外に面白かった本。私は、良い本だと思ったが、歴史や経済の専門家はこの本をどう評価するのだろうか? 本書は、戦後史を「貫戦史」という立場から論じる。その「貫戦史」とは何か。著者は、こ…

阪本順治『亡国のイージス』

◆『亡国のイージス』監督:阪本順治/2005年/日本/127分 これも福井晴敏が原作。『ローレライ』と似たような物語だった。登場人物も似たような設定になっている。『ローレライ』と同様に、なぜか一人少女がこの戦艦に乗っているのだ。今回は、『ローレライ…

吉本隆明『夏目漱石を読む』

◆吉本隆明『夏目漱石を読む』筑摩書房、2002年11月 この本はタイトル通り、漱石の書いた作品を通じて、一人の人間「夏目漱石」がいかなる作家であったのかを読むものだ。こういう作業も、吉本隆明だから許されるのかなと思った。全体的にヌルイというか、作…

これも気になる

憲法の話からはズレてしまうが、私には大塚の次のような文章が気になって仕方がない。 もともと論壇や文壇は、サブカルチャーに手を出したり、若者文化におもねって、「そこに新しい論壇がある、そこに新しい文学がある」と戦後一貫してやってきたわけです。…

大塚英志『憲法力』

◆大塚英志『憲法力−いかに政治のことばを取り戻すか−』角川書店、2005年7月 「「憲法力」とはまず何より「ことばの力」を信じることである」(p.237)というように、本書は「ことば」が重要視されている。憲法の前文を自分たちで書いてみようと薦めているのは…

言葉がもたらす驚きに敏感でありたい

最初の読者として初稿を読み直して見た著者をとらえたものは、意図されたわけではない一貫性が維持されていることへの驚きである。その一貫性は、樋口一葉から阿部和重にいたるまでの作家たちの言葉が、それぞれ異なる水準ではあるが、著者の心をしたたかに…

「憲法」を書く

◆大塚英志『憲法力−いかに政治のことばを取り戻すか−』角川書店、2005年7月(ISBN:4047100056) というわけで、同時期にでていたこの『憲法力』を読むことにする。大塚英志は、「憲法」と国民のアイデンティティを関連づけて論じていると言えるのだろうか?

仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』

◆仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』光文社新書、2005年7月 良い本だった。日本とドイツということで、戦争の問題が中心となるのかと予想していたけど、話題は「戦争責任」の話だけではなく、国家論や、マルクス主義や左翼、ポストモダンへと広がって…

気になる

◆仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』光文社新書、2005年7月(ISBN:433403313X) これは面白そうだ。期待しながら読もう。