中村政則『戦後史』
◆中村政則『戦後史』岩波新書、2005年7月(ISBN:4004309557)
予想外に面白かった本。私は、良い本だと思ったが、歴史や経済の専門家はこの本をどう評価するのだろうか?
本書は、戦後史を「貫戦史」という立場から論じる。その「貫戦史」とは何か。著者は、こう説明している。
では、貫戦史(Trans-war history)とは何か。戦争は国際関係を大きく変え、国内の政治経済、社会構造に激変をもたらし、人びとの思考や心理に大きな影響を与える。戦争が終わったからといって、その影響は消えるわけではない。とくに第二次世界大戦は、第一次世界大戦と違って銃後の社会を変えた。その影響は戦後の政治・経済・社会のあり方や精神にもおよんでいる。従来のように「断絶か連続か」という二者択一の考え方を超えて、以上のようなあらたな視点から戦後史とは何であったかを、総合的にみなおしてみたいのである。(p.5)
したがって、本書では戦争がキーワードになる。第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争からイラク戦争に至るまで。戦争によって何が変化したのだろうか。
ここでは、戦後史に4つの岐路を置いている。一つは、1950年代前半の講和論争、ワシントン講和条約、日米安保条約の締結の時期。二つ目は、高度経済成長とベトナム戦争の時期。著者は、よく言われる「55年体制」ではなく、「1960年体制」を主張している。三つ目は、オイルショック、沖縄返還、ニクソン・ドクトリン、日中国交回復、第一回先進国首脳会議(サミット)への参加した時期。4つ目は、1989年から91年にかけて、ベルリンの壁崩壊とソ連の消滅の時期。ここで「20世紀システムの終焉」と捉えるわけだ。こうして、これら4つの時期を戦後史のなかでも重要な岐路と位置づける。
経済関連のトピックが多いのも本書の特徴だろう。また、かなり最近の話題、今年2005年の事件まで最後は触れていたりしているのも驚いた。