手を動かす

茂木健一郎のブログに、「忘れること」の効用として、「課題になっていることがあったら、今までの経緯は無視して、とっとと始めろ、ということを自分に課すことができるという点*1」を挙げている。
このことは、たしかにその通りで非常に大切なことだと思う。論文などを書こうとするとき、事前にいろいろと準備をする必要があるが、準備に時間を掛けすぎて、あれこれと考え込んでしまうと、肝心の「論文を書く」という作業がちっとも進まない。これが一番良くないことなのだが、振り返ってみると、私も常にこのことで悩んでいた――。
この問題の解決法は、茂木の言うとおり、過去を忘れて「とっとと書き始めて」しまうしかないだろう。これはまったくその通り。内田樹も、以前に、書くことで他者としての自分が生まれることを説いていたが、「考える」というのは「手を動かす」といったすぐれて身体的な作業なのだということなのだろう。考えてから書くのではなく、書きながら考えるのが理想的な状態だと言える。