2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲーテ『ファウスト 第一部』

◆ゲーテ『ファウスト 第一部』岩波文庫、1991年12月 まだ、第一部しか読み終えていないが、ファウストと悪魔メフィストーフェレスの関係が面白い。わがままな主人(ファウスト)に仕える召使い(メフィストーフェレス)というような凸凹コンビみたいだ。ファウス…

マルセル・カミュ『黒いオルフェ』

◆『黒いオルフェ』監督:マルセル・カミュ/1959年/フランス/107分 オルフェウスの神話を下敷きにした映画。この神話を現代のリオのカーニヴァルを舞台にして、甦らせる。調べてみると、1959年のカンヌ映画祭でグランプリを、1960年米アカデミー賞外国語映…

新しい雑誌?

◆『クォータリー[あっと]』0号、創刊準備号、2005年5月(ISBN:4872339460) 柄谷行人「革命と反復」という連載が始まるようだし、上野千鶴子「生き延びるための思想」というインタビューが掲載されている。

ジョナサン・ウルフ『政治哲学入門』

◆ジョナサン・ウルフ(坂本知宏訳)『政治哲学入門』晃洋書房、2000年6月 文字通り、政治哲学の入門書だった。本書は、序論を省くと全部で6章ある。それらを順に並べてみると、「1 自然状態」「2 国家を正当化する」「3 誰が支配すべきか」「4 自由の位置」「5…

アラン・レネ『巴里の恋愛協奏曲』

◆『巴里の恋愛協奏曲』監督:アラン・レネ/2003年/フランス/115分 アラン・レネのミュージカル・コメディというので、期待して見に行ったが、正直微妙な印象。登場人物が、どうしても受け入れられない。役柄と役者の間にズレを終始感じて、物語に夢中にな…

伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』

◆伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』新潮文庫、2005年3月 映画の撮影で、ヨーロッパに滞在していたころのエッセイ。ヨーロッパから日本を見直す、一種の比較文化論とも言える。 英語が得意だという伊丹十三なのだけど、それでも外国の映画に出演するためか、か…

エルネスト・チェ・ゲバラ『ゲリラ戦争』

◆エルネスト・チェ・ゲバラ(五十間忠行訳)『ゲリラ戦争 キューバ革命軍の戦略・戦術』中公文庫、2002年6月 ゲバラのゲリラ戦理論を読んでみる。ゲバラにとって、ゲリラ戦とは何だったのか。 「ゲリラ戦士とは」とゲバラは書き、こう述べる。 ゲリラ戦士とは…

三崎亜記『となり町戦争』

◆三崎亜記『となり町戦争』集英社、2005年1月 印象をいくつか書き出してみる。 町の広報という、毎月たしかに配布されているけど、多くの人がほとんど読まないであろうメディアを効果的に使っているというところに、まず興味を持つ。広報や町役場からの書類…

盛山和夫『制度論の構図』

◆盛山和夫『制度論の構図』創文社、1995年8月 そもそも「制度」とは何なのか、というかどういうものとして私たちは捉えているか、ということを議論した本。硬派な理論書だと覚悟して、読み始めたのだけど、文章は読みやすく理解しやすい。内容も、たとえば永…

ジャック・ドゥミ『シェルブールの雨傘』

◆『シェルブールの雨傘』監督:ジャック・ドゥミ/1963年/フランス/91分 ミュージカル映画のなかでも超有名な映画。全編の台詞が歌になっているところがポイント。カラフルな傘が画面を覆う冒頭場面が、とてもおしゃれ。シェルブールの雨傘 [DVD]出版社/メ…

評判が良さそう

◆三崎亜記『となり町戦争』集英社、2005年1月(ISBN:4087747409) けっこう評判が良いので、読もうと思っていた小説。冒頭部分だけ少し読んでみたが、これは面白そうだなという予感が走る。戦争が、町の広報で知らされるという意外な展開。うまいと思う。

チェ・ゲバラ『ゲバラ日記』

◆チェ・ゲバラ(高橋正訳)『ゲバラ日記』角川文庫、2004年4月 訳者曰く、「『ゲバラ日記』は永遠の青春の書」であるとのこと。たしかに、この『ゲバラ日記』は不思議な魅力がある。ボリビアの山中でのゲリラ戦の日々を記述した日記ではあるが、そこには同時…

ロバート・アルトマン『バレエ・カンパニー』

◆『バレエ・カンパニー』監督:ロバート・アルトマン/2003年/アメリカ/112分 バレエ団の日常を綴ったもの。なにか劇的な出来事が起きたり、物語があるわけではなく、稽古風景と公演、団員の日常を見せるだけだ。 しかし、アルトマンという監督はあくが強…

高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』

◆高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』集英社、2005年5月 この前の『性交と恋愛にまつわるいくつかの物語』(ISBN:4022579722)と比べたら、こちらのほうが断然面白い。私は不勉強ながら、宮澤賢治の作品を読んだことがないのだけど、それでも…

マルセル・シューバッハ『ベジャール、バレエ、リュミエール』

◆『ベジャール、バレエ、リュミエール』監督:マルセル・シューバッハ/2002年/スイス/95分 「リュミエール」という公演に至るまでのベジャールを追いかけたドキュメンタリー映画。ダンスについては知識などないけれど、ベジャールの名前だけはよく覚えて…

高橋和巳『邪宗門』

◆高橋和巳『邪宗門』(『高橋和巳全集4 邪宗門 他』河出書房新社、1970年2月) 高橋和巳の『邪宗門』を読み終えた。ラストの反乱劇を読んでいたら、ふいに『シンセミア』を思い出した。なるほど、『邪宗門』もまた『シンセミア』と同様の群像劇と呼んでもよ…

グサッとくる

GWにこんなニュースを見て、ひどく落ち込む。 「博士号は得たけれど「ポスドク」激増で就職難」 政府はこれまで、国内の研究者層を厚くするため、大学院の定員拡大などポスドク量産を推進してきた。しかし、研究職はさほど増えておらず、その弊害が出た形だ…

ミヤザワケンジ

◆高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』集英社、2005年5月ISBN:4087747573 函入りの本。この本も装丁が凝っている。

ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』

◆『フレンチ・カンカン』監督:ジャン・ルノワール/1954年/フランス・イタリア/104分 ジャン・ギャバンが渋い。背中で語るとは、ジャン・ギャバンのことか。どんな動作をしても、ばっちり決まる。見事な演技。立っているだけでいい。それで満足。ジャン・…

私の印象

吉田修一と舞城王太郎を読んでみたのだが、漠然と感じているのは、この両者はそう簡単に一緒にして論じることはできないのではないかということだ。単に「西」とか垂直の視線だけで、二人の文学の特質を語ることができるとは思えない。 というのは、やはり吉…

柴崎友香『フルタイムライフ』

◆柴崎友香『フルタイムライフ』マガジンハウス、2005年4月 いつものことならが、柴崎友香の書く大阪弁の会話がすごく良い感じなので、読んでいてとても気分が良くなる。 食品包装機器の会社に就職した「春子」の一年間を描いた小説。五月から始まり二月まで…