柴崎友香『フルタイムライフ』

柴崎友香『フルタイムライフ』マガジンハウス、2005年4月
いつものことならが、柴崎友香の書く大阪弁の会話がすごく良い感じなので、読んでいてとても気分が良くなる。
食品包装機器の会社に就職した「春子」の一年間を描いた小説。五月から始まり二月まで。各月がそれぞれ章にわかれている。新入社員春子の成長物語と読める。五月のころは、シュレッダーの操作に悪戦苦闘していた春子が、それから約一年が過ぎ、二月のころになると、自分の職場の全体を、そこで働く人々を見ることができるようになっている。その場面が、とりわけ印象的。何の変哲もない職場の風景を描写しながら、だけどそこにはちゃんと個性をもった人間がいること、その人たちを春子が見ることが出来るようになったことを、さらりと書いている。春子の微妙な変化をきちんと描けているのに好感というか共感のようなものを感じる。

フルタイムライフ

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