ロバート・アルトマン『バレエ・カンパニー』

◆『バレエ・カンパニー』監督:ロバート・アルトマン/2003年/アメリカ/112分
バレエ団の日常を綴ったもの。なにか劇的な出来事が起きたり、物語があるわけではなく、稽古風景と公演、団員の日常を見せるだけだ。
しかし、アルトマンという監督はあくが強いと言うのか、いやらしいと思う。アルトマンは、どこか人間を突き放しているというかバカにしているというか、アルトマンの人間を見る目に私は「悪意」を感じる。以前、アルトマンはカーヴァーの小説を元に映画を作ったことがあるけれど、アルトマンから感じる「悪意」とはカーヴァーの小説の小説に感じられるような「悪意」に似ている。法律的に問題があったり、道徳的に許されない「悪」というものではなくて、ほんとに些細なことで、誰もが思わずやってしまう、あるいは抱いてしまうような「悪意」。アルトマンの映画は、面白いのだけど、こういう「悪意」を一方で感じるので、観賞後の後味が毎回すっきりしない。でも、それがアルトマンの良さなのかもしれない。私は、それがけっこう好きだったりもするだけど。