2004-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 書評はむずかしい

自分が「特別な存在」になることを志向する唯生。そのために、彼が行うのは「模倣」だ。「ドン・キホーテ」が騎士道物語を模倣して「気違い」と見なされてしまうように、唯生もまた「ドン・キホーテ」を徹底的に「模倣」するだろう。それこそが「特別な存在…

 深夜の掃除

昨日の夜に、思い立って部屋の掃除をしてみた。ものすごい高さで積んである本をひさしぶりに動かしてみた。大量の本なのには、自分でも驚いた。掃除を終えて、再び本を積み上げたのだけど、以前のようにうまくいかない。微妙なバランスで積んであったので、…

研究者の習性で

◆ロラン・バルト『ロラン・バルト著作集10 新たな生のほうへ 1978−1980』みすず書房 ◆『AERA』'04.2.23 古本屋で、すこし安くなっていたので思い切って『ロラン・バルト著作集』を買ってみた。全部欲しいがやっぱり値段が… 『AERA』は表紙が綿矢りさ…

 原稿の締め切り

疲れた。わずか原稿用紙5、6枚にすぎない書評を昨日からひたすら書き続ける。難しい。小説を読むのも、それについて書くのも異常に難しい。頭イタイ。なんとか仕上げてみたものの、相変わらず自分の読解力には自信がない。こんな書評で良いのか、心配にな…

神の声が聞えた

◆芹沢光治良『神の微笑』新潮文庫 なぜ、今頃芹沢光治良が文庫で出るのか分からない。分からないから思わず買ってしまった。読んでみたら意外に面白いのかもしれない。

書評を読む、大阪の図書館、そして80年代

◆中条省平『名刀中条スパパパパン!!!』春風社 ◆『国文学解釈と鑑賞別冊 堀辰雄とモダニズム』至文社 ◆『大阪人』2004年3号 特集図書館へ行こう! ◆『STUDIO VOICE』2004年3月号 雑誌文化伝説'70〜'85 書評の書き方で、参考になる本を探してみる。となると、…

 「一太郎2004」

新しい「一太郎」をしばらく使ってみて思うのは、期待していたアウトライン編集が私にはほとんど使い物にならなかったということ。いまいち使い勝手が悪い。この程度なら、フリーソフトのほうが断然よい。やはり、これはワープロとしてのみ使うべきだなと思…

 階層社会と日本

◆苅谷剛彦『大衆教育社会のゆくえ』中公新書 ◆阿部和重『アメリカの夜』講談社文庫 『大衆教育社会のゆくえ』を読んでみた。著者による例の「知的複眼思考法」を実践した本ということで、一度は読んで参考にしたいと思っていたからだ。なるほど、その批判的…

 「ユリシーズ」は難解だから

◆「ジョイスの「ユリシーズ」に作家らの非難集中」 アイルランドでは、この20世紀文学の最高傑作と言われる『ユリシーズ』*1を記念したブルームズデーの準備が行われているという。その一方で、この作品のカルト的な人気に嫌気を覚える人が作品の批判を始め…

芥川賞受賞作

◆『文藝春秋』2004年3月号 芥川賞受賞作「蛇にピアス」と「蹴りたい背中」掲載。各審査員の選評と受賞者インタビュー。とりあえず、同時代批評の資料としてチェック。

 自殺の3つの基本タイプ

◆デュルケム『自殺論』中公文庫 なんとかがんばって読み終える。少々手こずったけれど、中身はけっこう面白い。以下、自分用のメモ。【自殺の3つの基本タイプ】 自己本位的自殺=「人が、もはや自分の生にその存在理由を認めることのできなところから発生」 …

 つくづく嫌になる

ほかでもない、この世界を覆っている資本主義のこと。資本主義って、きっと最悪のシステムなんだろうけど、それ以外のシステムが選択不可能になっているのがつくづくいやなのだ。嫌いでも拒否できない、一旦乗っかってしまった以上はもう降りることが許され…

 けっこう根の深い問題なんだ

小田中直樹氏『歴史学ってなんだ?』の第一章は「史実を明らかにできるか」である。ここで、正しい認識が可能だという歴史学の営みの前提に、構造主義以後疑いが向けられるようになったことが述べられている。そして、この「正しい認識が可能」かどうかの問…

「コミュニケーション」について考えるために

◆中島梓『コミュニケーション不全症候群』ちくま文庫 ◆舞城王太郎『熊の場所』講談社 そういえば有名な本なのに、まだ読んだことがなかったなと思い、あわてて『コミュニケーション不全症候群』を買った。 『熊の場所』というタイトルを見ると、いつもフォー…

 決断

優柔不断の性格もここまでくると、自分で自分自身や嫌になる。ひたすらテーマを変更しては何度も「ちがう!」とやり直し、ようやくこのテーマでいこうと決断する。けっこう無駄に時間を費やした感じ(というか実際費やしてしまったのだけど…)。 でも、なん…

今月も買った

◆小林秀雄『小林秀雄全作品17 私の人生観』新潮社 例の如く買い続けている『小林秀雄全作品』。まだのこり半分の巻がある。全部揃うのは、来年になってしまうなあ。

 ちょこちょこサイトをいじる

昨日から、かなり頻繁にリンクの色を変えたり、テーマを変えたりして落ち着かない。なかなか自分の思い通りのものができなくて、あれこれ試しては、「うーん…」と悩んでいるわけです。性格が優柔不断なほうなので。

 もてる男

◆西尾維新『きみとぼくの壊れた世界』講談社 ◆甚野尚志『隠喩のなかの中世』弘文堂きのうの日記を書いたあと、結末が気になったので一気に最後まで読んでしまった『きみとぼく…』。うーん、面白い小説であることは認めるけれど、衝撃というか…読み終えた後に…

 私的小説論

以下、極論だということを分かった上で、メモ風に論じてみると、西尾維新の小説にはまず無駄がない。それはどういうことかと言うと、ある場面に主人公が来る、するとそこに誰かがいる。そして何らかの出来事が起きる。で、次の場面に移動する。誰かがいて、…

 『きみとぼくの壊れた世界』読書中

西尾維新『きみとぼくの壊れた世界』を読み始める。この手の小説、本当は私の趣味ではない。興味の対象外にある本だけど、文学研究者としてはどんなジャンルの小説であろうと、自分の趣味に合わなくても、とにかくチャレンジすることが大切だと、自分に言い…

『ファウスト』第2号が届いた

◆『ファウスト』第2号 ◆千葉伸夫『小津安二郎と20世紀』国書刊行会 ◆レイ・チョウ『女性と中国のモダニティ』みすず書房 bk1で予約しておいた『ファウスト』最新号が届く。今回もいろいろな工夫がしてある。この雑誌を買うのは、やはり舞城王太郎が気にな…

 ひどく寒い週末

風が強く冷たい。部屋も完全に冷え切っている。この寒波をなんとか乗り越えなくては、と思って本屋に行った。ここで本をじっくり選んで、ついでに体を温める。 ところで、最近なんで日露戦争関係の本が出版されているのだろう?と不思議に思っていたら、開戦…

◆島本理生『生まれた森』講談社 ◆柄谷行人『定本 柄谷行人集第2巻 隠喩としての建築』岩波書店 ◆『文学界』3月号 島本理生の前作『リトル・バイ・リトル』*1は、個人的には良い小説だと思っている。なので、この『生まれた森』も少し期待している。 『柄谷行…

モーリス・パンゲ(竹内信夫訳)『自死の日本史』

◆モーリス・パンゲ(竹内信夫訳)『自死の日本史』筑摩書房 けっこうな厚さの本なので、読むのに少々苦労した。なにせ、古事記の時代から三島の自決までの、<意志的な死>という日本の精神を論じるという壮大な試みだ。 三島の死については、こう書かれてあ…

 買った

「一太郎2004」を買う。一年前から私は「一太郎」派に転向した。使い慣れると、ワードよりも圧倒的に便利。日本語で論文を書いているので。

 買いたい

「岡崎京子の小説『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』」(Excite エキサイト ブックス)http://www.excite.co.jp/book/news/story/?channel=0002&code=00021075973309 こんな小説があったのか。発売は2月21日とのこと。忘れないようにメモしておこう。

◆門脇俊介『フッサール』NHK出版

それから、もう一冊の読了本『フッサール』の印象は、意外に難しい本だったなということ。少なくとも私には難しかった。やはり100ページほどの小著でフッサールという巨大な思想家を論じるのは、相当困難な試みであったのだろうと推測される。おそらく、ここ…

安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』

◆安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』平凡社 民衆がいかにして改革の「主体」になるのか、ということがテーマだろうか。上からではなく、下からつくる歴史。たとえば、こんな感じ。 本稿は、近世中後期以降という特殊の一時代において、勤勉、倹約、和合等々…

◆ジョルジョ・アガンベン『アウシュビィッツの残りのもの』月曜社 ASIN:4901477005 ずっと買う本リストに入れていて、買うぞ買うぞと思ったけどなかなか買わなかった本。出た時にすぐに買えば良かったなあと少し後悔。まあ、いいや。

 命より大切なもの

「パトカーから逃走、3人乗りバイクの中学生けが…1人自殺」http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040205i302.htm ニュースによると、ナンバープレートのない3人乗りのミニバイクをパトカーが発見。追跡したところ、ミニバイクは鉄柱に衝突した。その…