2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ウォルフガング・ペーターゼン『ポセイドン』

◆『ポセイドン』監督:ウォルフガング・ペーターゼン/2006年/アメリカ/98分 映像は大迫力だが、物語はシンプルな映画。巨大豪華客船が航行中に、超大津波を受けて、転覆し沈没する。この船から脱出するさまを描いた物語。この巨大な客船を、まるで生き物…

仲正昌樹『ラディカリズムの果てに』

◆仲正昌樹『ラディカリズムの果てに』イプシロン出版企画、2006年6月 とりあえず気をつけなければならないのは、本文を読む前に、冒頭の注意書きをよく読むことだろう。 納得できる箇所もあり、ちょっと厳しい主張だなと思う箇所もある。これ以上は、恐くて…

小田中直樹『日本の個人主義』

◆小田中直樹『日本の個人主義』ちくま新書、2006年6月 個人の《自律》をめぐって、本書では大塚久雄を取り上げ、そして彼の思想を近年のさまざまな思想や学問の成果と比較検討する。 まるで教科書のように、先行する所説を整理していく手際の良さには感心す…

有田正光・石村多門『ウンコに学べ!』

◆有田正光・石村多門『ウンコに学べ!』ちくま新書、2001年10月 以前、谷崎の小説を集中して読んでいた頃から気になるテーマに「ウンコ」があった。文学のなかではたして「ウンコ」がどのような意味を持ってきたのかについて考えるのは、かなり重要なことな…

鎌田浩毅『ラクして成果が上がる理系的仕事術』

◆鎌田浩毅『ラクして成果が上がる理系的仕事術』PHP新書、2006年5月 資料の整理法からアイデアの発想法、アウトプットの方法を16のキーワードに整理して紹介している。けっこう参考になる。特に私が長年悩んでいる「どうしたら、はじめの一行が書けるか」に…

高学歴、ニート、そして…

本屋で今週の『読売ウィークリー』(2006年6月18日号)を立ち読みする。「バブル再来!06「就活」」という記事がある一方で、このあいだ起きた「海洋学者」一家の事件の記事もあり、その二つの記事が気になったのだ。 「就活」の記事は、大手企業だけではなく…

原宏之『バブル文化論』

◆原広之『バブル文化論 <ポスト戦後>としての一九八〇年代』慶應義塾大学出版会、2006年6月 私にとって常々、80年代やバブル期のカルチャーは憎悪の対象であり、それゆえに80年代論に強い関心を持っている。特にバブル期の現象など、私にとっては揶揄の対…

希望があるのか

産経新聞に「雇用増1年で79万人 9割以上が非正社員」*1という興味深い記事が出ていた。 景気回復に伴って雇用環境が改善する中で、この1年で増えた雇用者のうち、9割以上が非正社員であることが3日、総務省の調査でわかった。 雇用は増えたと言っても…

アレクサンドル・ソクーロフ『ファザー、サン』

◆『ファザー、サン』監督/アレクサンドル・ソクーロフ/2003年/ドイツ・ロシア・イタリア・オランダ/84分 タイトル通り、父と息子の物語のはずなのだか、映画の冒頭からなんだかあやしい雰囲気。荒い息づかいが聞こえ、やがて人の肌がクローズアップされ…

学歴難民!

『Newsweek(日本版)』(2006年6月7日)に「学歴難民クライシス」という特集があると知ったので、さっそく本屋に行って買ってきた。 記事によれば、一流大学を卒業しても、あるいは大学院を修了しても仕事にありつけないのは、日本に限らず今や他の先進国によく…

平野啓一郎『顔のない裸体たち』

◆平野啓一郎『顔のない裸体たち』新潮社、2006年3月 悪くない小説だが、テーマは新鮮さを欠いている。小説の最後は、「「ま、『頭隠して尻隠さず』やな。」/しかし、これはどうも、あんまり当たり前過ぎるというので大した評判にはならなかった。」(p.155)…

リュック・ベッソン『アンジェラ』

◆『アンジェラ』監督:リュック・ベッソン/2005年/フランス/90分 何をやってもダメな男アンドレが、とうとうどん底に陥り、セーヌに身を投げようとしたとき、絶世の美女アンジェラと出会う。アンジェラは、実は天使で、アンドレを救う任務のために地上に…

ジム・ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』

◆『ブロークン・フラワーズ』監督:ジム・ジャームッシュ/2005年/アメリカ/106分 主人公を演じるビル・マーレイは、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』でも東京という異空間を漂う孤独な男を演じていたが、本作ではさらにだめ男と…

小森陽一『村上春樹論』

◆小森陽一『村上春樹論 『海辺のカフカ』を精読する』平凡社新書、2006年5月 最近、世界的に評価が高まっている村上春樹であるが、その『海辺のカフカ』を小森陽一が「辛辣」と言っていいほどに強く批判をしている。だが、その読解は左翼ゴリゴリで、はたし…