高学歴、ニート、そして…

本屋で今週の『読売ウィークリー』(2006年6月18日号)を立ち読みする。「バブル再来!06「就活」」という記事がある一方で、このあいだ起きた「海洋学者」一家の事件の記事もあり、その二つの記事が気になったのだ。
「就活」の記事は、大手企業だけではなく、業界2番手、3番手あたりの企業に行く人には、楽々内定が出ているという内容。この前の『Newsweek』の記事の内容と同様に、大手企業や職種にこだわってしまう人は、苦戦してしまうらしい。そんなわけで、楽に内定を取れる人と、なかなか内定が出ない人の二極化が起きている。バブル期の反省から、企業が採用にあたって学歴や出身校よりも人物重視になっているといわれるが、とはいえ入社してから学歴で差別化されているともあって興味深い。
結局、今年の就活は売り手市場なのだから、「数打ちゃ当たる」ということではないだろうか。エントリーの時に会社を選択するのではなく、内定を得た会社から入社したい会社を選ぶのが、正しい就活の方法なのかもしれない。やりたい仕事を見つけるよりも、とにかくどんな会社でもいいから「内定」を得ることが重要。仕事は選ぶものじゃない、選ばれるものなのだ、と自分自身に言い聞かせてみる。
それよりも、「海洋学者」一家の事件は、これはまさしく高学歴難民問題の生んだ悲劇なのではと思った。記事のタイトルは「ニート息子」なんて書いてあり、『「ニート」って言うな!』が出た後でも「ニート」という言葉をこんな風に使うのかと呆れてしまう。記事を書いた記者は、とにかくまずは『「ニート」って言うな!』を読むべきだなと思う。
それはともかく、この両親を殺害した息子は、高校を中退したあとアメリカへ渡り、そこで高校、大学を卒業し修士号もあるそうだが、日本に帰国しても就職がなく、父親のコネでなんとか就職した会社も人間関係がうまくいかず一年でクビとなったという。息子は父親に「不当解雇だ」と言っていたが、父親は「それならなぜ訴えないのか」と息子を責めたそうで、それ以来親子関係がうまくいかず、息子のほうは仕事のやる気も失せ、引きこもりがちになっていったという。――
今後は、こんなふうに高学歴者が追い込まれていくのかなと思ってゾッとした。私自身も一歩間違えばこうなる可能性があるのかもしれないと。