2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

蓮實重彦『反=日本語論』

◆蓮實重彦『反=日本語論』筑摩書房、1977年5月 再読。「日本語論」の批判だが、日本語にとどまらず、言語学そのものを批判することで、西欧の思考の源である「音声中心主義」批判へと向かう。デリダの仕事を受け継いだものだろう。書かれた当時のことはいざ…

松本清張『日本の黒い霧』

◆松本清張『松本清張全集30 日本の黒い霧』文藝春秋、1972年11月 主に占領期間中に起きた不可解な事件を、様々な資料を読み解き、謎を推理している。あとがきでは意図していないと書いているが、取り上げた事件の背後に「アメリカ」を見ており、占領中におき…

成瀬巳喜男『はたらく一家』

◆『はたらく一家』監督:成瀬巳喜男/1939年/東宝/65分 原作はプロレタリア作家の徳永直。貧しい一家を描いているのだが、プロレタリア風の作品だなとは思わなかった。この映画も、ラストシーンが良かった。 家族が多くて、父の収入が少なく、子供たちは小…

成瀬巳喜男『歌行燈』

◆『歌行燈』監督:成瀬巳喜男/1943年/東宝/94分 原作は泉鏡花。『鶴八鶴次郎』では、三味線の名人を山田五十鈴が演じていたのだが、この作品では、山田五十鈴は三味線もなにも出来ない芸者を演じている。何もできない芸者に能の舞を教えるのが花柳章太郎…

成瀬巳喜男『鶴八鶴次郎』

◆『鶴八鶴次郎』監督:成瀬巳喜男/1938年/東宝/89分 山田五十鈴の東宝入社第一作であるという。若い頃の山田五十鈴はかなり良い。長谷川一夫を互いに深く愛しているにもかかわらず、激しく反発してしまい、ついに結ばれることなく別れてしまう新内語りの…

ロラン・バルト『エクリチュールの零度』

◆ロラン・バルト(森本和夫・林好雄訳)『エクリチュールの零度』ちくま学芸文庫、1999年10月 久しぶりに読んでみた。冒頭部分が面白い。 エベールという人がいるのだが、彼は『ペール・デュシェーヌ』紙のどの号でも、「なんてこった」とか「こんちきしょう…

安岡章太郎『海辺の光景』

◆安岡章太郎『海辺の光景』新潮文庫、1965年4月 「うみべのこうけい」と読んでいたが、奥付のページになんと「かいへんのこうけい」とルビが振ってある。読み方を間違えていたではないか。読み方を気をつけないといけない。 解説を四方田犬彦が書いていたの…

ジョージ・A・ロメロ『ランド・オブ・ザ・デッド』

◆『ランド・オブ・ザ・デッド』監督:ジョージ・A・ロメロ/2005年/アメリカ・カナダ・フランス/93分 ゾンビ映画と言えばロメロ監督ということで、さっそく見に行く。ゾンビが学習して成長していくというアイデアが面白い。 ゾンビとの闘いで、世界中の都…

成瀬巳喜男『お國と五平』

◆『お國と五平』監督:成瀬巳喜男/1952年/東宝/92分 原作は谷崎潤一郎。成瀬にしては珍しいと言われる時代劇。成瀬にとって、時代劇はこの映画2本目であるという。しかも、最後の時代劇でもある。出演は、木暮実千代、山村聡など。藤原釜足が出演している…

川端康成『天授の子』

◆川端康成『天授の子』新潮文庫、1999年6月 「故園」「東海道」「感傷の塔」「天授の子」の4編が収められている。そのうち、「故園」と「東海道」は未完である。文庫にある川端香男里氏の「覚書」を参照すると、「感傷の塔」以外は全集や単行本には未収録だ…