松本清張『日本の黒い霧』
◆松本清張『松本清張全集30 日本の黒い霧』文藝春秋、1972年11月
主に占領期間中に起きた不可解な事件を、様々な資料を読み解き、謎を推理している。あとがきでは意図していないと書いているが、取り上げた事件の背後に「アメリカ」を見ており、占領中におきた謎の多い事件は、アメリカの謀略なのではないかという説を立てている。松本清張は、特に、GHQ内部の権力争い(「GS」と「G2」の対立)を重要視しているようだ。
日本を極東おける反共拠点として位置づけるために、共産主義がいかに恐ろしいものであるか、たとえば下山事件のような事件で人々に知らしめるために謀略が行われた――。このような論理は、別の形になって、今現在でも容易に聞くことが出来そうだ。この手の話は尽きない。
謀略説の是非はともかく、やはり松本清張の謎解き、推理は読んでいて面白い。また今では、ほとんどの人が知らないであろう事件が取り上げられているのも勉強になる。
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