猪瀬直樹『ピカレスク 太宰治伝』

猪瀬直樹ピカレスク 太宰治伝』文春文庫、2007年3月
面白い。面白いのは、太宰ではなく井伏鱒二のほうだ。
太宰治の評伝なので、もちろん太宰の人生が中心に物語られていくのだが、その太宰や太宰の周辺人物たちに翻弄されていく井伏の人生。おまけに「井伏さんは悪人です」とまで太宰に書かれてしまう。
太宰の人生はたしかにドラマチックで、文学青年を惹きつけるところがある。だが、本当の作家として苦しんだのは井伏なのだろう。井伏の作家人生に興味が湧く。

ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫)

ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫)