成瀬巳喜男『まごゝろ』

◆『まごゝろ』監督:成瀬巳喜男/1939年/東宝/67分
これは戦争の影が色濃い作品。原作は石坂洋次郎。母とおばあさんと暮している少女が主人公。少女の友人の父親と、自分の母親が昔関係があったことを知ったり、亡くなった自分の父親のことを母やおばあさんから聞いたりしたことで、少女の心は動揺するのだが、最後はみんな互いに理解しあう。そして友人の父に召集令状が届き、彼は戦争へ行く。物語を見ていると、家族はしっかり一致団結し、戦争へ行く男性を支えようという感じだ。戦時下だし、仕方がないのだろうか。しかし、成瀬は子どもを主人公にした映画を撮るのも上手いなと思う。