2005-09-16から1日間の記事一覧

成瀬巳喜男『杏っ子』

◆『杏っ子』監督:成瀬巳喜男/1958年/東宝/110分 原作は室生犀星。高名な小説家を父に持つ娘と結婚した男が、小説家を目指すが能力が無く挫折を繰り返す。その過程で、酒に溺れて生活が荒れ、妻にもひどい態度を示すようになる。妻の父の存在が、どうにも…

成瀬巳喜男『ひき逃げ』

◆『ひき逃げ』監督:成瀬巳喜男/1966年/東宝/128分 脚本は松山善三。やはり松山善三のシナリオはイマイチだなと感じる。高峰秀子が狂気を演じる場面などすばらしく、映画全体の出来は良いのだが、どうも物語の展開に納得がいかない。 物語は、高峰秀子が…

三島由紀夫『美徳のよろめき』

◆三島由紀夫『美徳のよろめき』新潮文庫、1960年11月 これは「美徳」あるいは「悖徳」といった観念をめぐる「思想小説」というよりは、「身体小説」なのではないか。というのも、ヒロインである「倉越節子」は、あまりにも簡単に妊娠してしまう身体の持ち主…