吉村公三郎『婚期』

◆『婚期』監督:吉村公三郎大映/98分/カラー/シネスコ
出演は、京マチ子若尾文子高峰三枝子と豪華な顔ぶれ。脚本は水木洋子船越英二が夫でその妻が京マチ子。この夫には、姉(高峰三枝子)と妹が二人、弟が一人いる。姉は一人暮らしで仕事をバリバリとやるしっかりとした女性。妹二人と弟は、家と継いだ兄のところに住み続けているが、嫁(京マチ子)の存在が気に入らない。とくに、30歳を目前にして結婚できない妹(若尾文子)は、なにかと不平不満をこぼしている。嫁(京マチ子)と小姑(若尾文子)の争いと、見慣れたパターンになる。とは言っても、この映画は結婚や夫婦生活をテーマとして喜劇である。吉村公三郎も、新藤兼人の脚本から離れると、余計なイデオロギーから解放されて、非常に洗練された喜劇を撮るのだなと思った。この作品では、家のお手伝いさんのおばあさん役が道化役となっており、このおばあさんの独特のテンポがおもしろかった。