三島由紀夫『宴のあと』

三島由紀夫『宴のあと』新潮文庫、1969年7月
有名なプライヴァシー裁判が起きたということで有名な作品。海外でも知られている作品ではないだろうか。
「雪後庵」という料亭の女主人である「福沢かづ」が、かつて大臣を何度も経験したという「野口雄賢」という初老の男と出会い、結婚。この野口が、革新党から都知事選に出馬することになり、どうしても当選させたいかづは、あの手この手を使い奮闘する。しかし落選。野口は隠遁生活で、大人しく生活していこうとするが、かづは再び雪後庵の女将に戻ることを決意し、二人は離婚することになる――。
かづは田舎臭いところがあって、将来的には野口家の墓に入ることを夢見るわけだが、一方野口という男は知識人で堅物。選挙戦においても、権謀術数を巧みに操るかづの姿が面白くない。まったく「政治」的駆け引きが出来ない男なのだ。要するに、この作品も三島の作品にたびたび見られる、大衆と知識人の対立が描かれている。

宴のあと (新潮文庫)

宴のあと (新潮文庫)