若松孝二『ゆけゆけ二度目の処女』

◆『ゆけゆけ二度目の処女』監督:若松孝二/1969年/若松プロダクション/65分
映画のほとんどは、あるマンションの屋上が舞台となっている。屋上という密室で、少年の惨劇が行われる。
二度も輪姦された少女と、乱交パーティをしていた男女4人に襲われた少年。少年は、この男女4人をマンションの一室で「この豚」と言って殺していた。いっぽう、輪姦された少女は「殺して」と哀願する。その後、再び少女の前に現れた輪姦をした不良たちを、少年は殺してしまう。翌朝、少年と少女は、屋上から飛び降りてしまう――。
物語は、このように簡単なものだ。この映画は、屋上を舞台にしたことが注目されている。この映画に登場する屋上が、若松孝二の映画に出て来る密室の役割を担っているからだろう。たしかに、この映画の屋上は、行き止まりという印象を強く与える。この行き止まりを抜け出るには、屋上の外に飛び出ることしかないのかもしれない。