『岩波応用倫理学講義4 経済』

◆『岩波応用倫理学講義4 経済』岩波書店、2005年7月
倫理学の本で、「経済」の巻があるのは面白そうだと読み始める。この巻は、川本隆史が中心となっている。
けっこう工夫がされた作りとなっていて、この手の本だとたいてい論文集の形を取ることが多いが、この本というかこのシリーズは、どうやらただ論文を集めただけの本ではなく、はじめに「講義の七日間」として川本隆史氏が導入の論文を書き、つづいて「セミナー」と称して、経済と倫理に関する論文が6つ続き、つぎに「問題集」として、現在の問題になっていることをいくつか紹介し、最後に「シンポジウム」として、大澤真理・中野敏男・森まゆみ川本隆史らによる「経済と倫理」に関する討論が収められている。
セミナー」の章は、さすがに専門的な論文が並んでいるが、「講義の七日間」と「シンポジウム」の章は、「経済と倫理」という問題への良い導入となっている。この二つを読むだけでも役に立つ本だ。

岩波 応用倫理学講義〈4〉経済

岩波 応用倫理学講義〈4〉経済