メルヴィル『白鯨(上)』

メルヴィル(八木敏雄訳)『白鯨(上)』岩波文庫、2004年8月
やはり文学の世界で名作として残っている小説はおもしろい。
岩波文庫だと上、中、下の三冊ある。とりあえず、きょうは上巻を読み終えた。語り手であるイシュメールとクイークェグが出会い、奇妙な友情関係を結んで、ナンターケットに渡り、そして物語の舞台となるピークオッド号の船員として契約。いろいろ出発の準備があり、文学の世界で最も有名な人物であるエイハブが登場。登場人物がそろったところで、モーヴィ・ディックを目指して航海に出たところ。上巻はこんなところ。
冒頭、いきなり鯨の語源だの、鯨に関する言説の引用がたくさん為されているのだが、こうした「鯨学」がところどころ挿入される。鯨の分類なんかしていたり。論文調というかレポートのような章とエイハブたちの物語が混ざり合った小説なのだ。こうした形式なども、すごく興味深い。
19世紀の小説というのはいろんな実験をしていて、現代よりも遙かに自由で前衛的だなと、こういう小説を読むとつくづく思う。

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 上 (岩波文庫)