町口哲生『教養としての10年代アニメ』

◆町口哲生『教養としての10年代アニメ』ポプラ新書、2017年2月
とても退屈なアニメ評論。
アニメを「インフォテインメント(情報娯楽)」として捉え、教養(学問)で分析すると述べているが、アニメ作品そのものの理解にはほど遠い試み。学問的に見せたいという著者の努力は感じるが、大学4年生か出来の悪い修士の学生のレポートを読んでいるような内容であった。
アニメだのマンガをちょっと難しい哲学や社会学の用語で語りたくなる人は、昔からいたが、いまだにこんな人がいるんだなあと懐かしく思った。この内容の講義だとしたら、退屈な講義だろうなあ。
アニメを学問として研究するなら、このような小手先のテクニックを振り回すだけでは不十分。アニメ研究に必要な基本知識の入門書だったら、『新版 アニメーション学入門』(平凡社新書)のほうが要領よくまとまっているし、さまざまな専門分野の視点からのアニメ研究であれば、『マンガ・アニメで論文・レポートを書く』(ミネルヴァ書房)のほうが参考になる。

(117)教養としての10年代アニメ (ポプラ新書)

(117)教養としての10年代アニメ (ポプラ新書)