『雪国』と映画

川端康成『雪国』新潮文庫
三島由紀夫『音楽』新潮文庫
『雪国』という作品は、しばしば冒頭部分が取り上げられ論じられることが多いのだけど、映画と文学の関わりを調べる人にとっては、ラストシーンのほうが重要だ。この小説の最後に、映画の上映が繭倉であって、そこでフィルムが発火して(昔のフィルムは燃えやすいから)火事が生じるという場面があるからだ。フィルムが発火して火事になるなんて、『ニューシネマパラダイス』みたいだ、といつも思っていた。こうした物語の出来事に限らず、この小説の表現が映画的だ、という指摘はある。そんなところを、もう一度読み直して確認してみよう。